思うに、この朝ドラの残念な点とは、主人公・てん、そして周囲の芸人たちの変化や成長が感じられないことにありました。いつまでたっても、若い時のまま。たとえば、葵さんが演じるてんと息子の隼也(成田凌)は、どうしても「親子」に見えません。まるで同世代カップルか、下手をしたら葵さんが隼也の妹、という配置が一番ぴったりくる。それくらい、年齢不詳。良い意味で年を重ね成熟していく過程がリアルに伝わってこない。

 そんな中にあって、リリコの演技はただ一人、気を吐いています。人生の中でさまざまな役割を担いながら葛藤し変化していく、という朝ドラの醍醐味をきちん表現しています。

 と、リリコを演じる姉・広瀬アリスの存在感が際立っていますが、一方「最旬女優」の呼び声高い妹・広瀬すずさんはどうでしょう? 

 まさしくこの同じ時期に、すずさんは連続ドラマ『anone』(日本テレビ系 水曜午後10時)の主演をこなしています。この作品、坂元裕二氏脚本書き下ろし作品ということもあって大いに注目されています。

 ですが、どうにもぱっとしない。華がないどころか、すずさん演じる広沢ハリカは、ずっと沈んだまま。前髪で顔半分を覆い、セリフはぼそぼそ。表情に抑揚がない上、スマホ画面でやりとりするシーンばかり多用され、いつも下を向いています。

 もちろん、それがこのドラマの演出・脚本の狙い、ということでしょう。貧乏くじを引いたのかどうか。とにかく広瀬すずさんの演技に惹きつける力を感じないし魅力も輝きも物足りない。全体を覆っているもやもや感のせいか、視聴率も9.2%から5.9%(5回目)と右肩下がりが続いています。

 つまり、「逆転姉妹」の様相を見せているのです。

 とはいえ『anone』はまだ折り返し地点。一念発起、今後の展開ですずの逆襲はあるのか。大きく飛躍が見られるかどうか、注目です。

 一方、姉の演じるリリコもいよいよ大きな見せ場にさしかかっています。今期のドラマの中で演技力を大きく伸ばし、視聴者の目をさらっていくのは果たして姉妹どちらでしょうか。

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