ガリットチュウは吉本のお笑い養成学校「東京NSC」の2期生。だが、彼らを含む同期は「泥の97年デビュー組」と言われ、なかなか芽が出ないことで知られていた。2009年、『アメトーーク!』(テレビ朝日系)でその特集が組まれたこともある。
同期の中にはその後コンビを解散してピン芸人になる者が現れたり、芸能界を引退して実家の手伝いをするなどそれぞれの道を歩く中、福島はそのモノマネを「クソモノマネ」と自虐を込めた呼び方をしながらも、You Tubeでそれを公開したり、レパートリーから選んだ170人を絵札と読み札にした「ものまねカルタ」を、遊び方の説明書を自分たちで封入して売るなどコツコツと続けてきた。
福島のものまねは、歌まねでも、顔まねだけとも違い、髪型も変え、衣装も用意し、時に小道具も持たなくてはならないため、言われてすぐできるというものではない。また、厳密に言えばものまねというより「扮装」に近い。その瞬間を切り取るのにうまくフィットしたのが、写真だけ投稿すればいいインタグラムだった。
また、年を重ねたことで哀愁も加わった。編集者に追いかけられる手塚治虫さんのまねを、若いころやるより、40歳の今披露するほうが、味わいが出る。メディアの変化によって巡ってきたチャンス。この好機をガリッとかじれるか。(芸能ライター・飯山みつる)