「後を継いだ当初は下請け企業でしたが、大山社長が22才のとき、『下請けだけでは終わりたくない』と一念発起。農業や水産業関連の資材の製造をはじめました。水産業の養殖に使われるプラスチック製の浮きなどが大ヒットし、会社も急成長しました」
ところが1973年の第一次オイルショックが会社を窮地に陥れる。
「原油価格の高騰で石油製品であるプラスチックが市場から消えるとの憶測から、プラスチック製品の駆け込み需要が高まった。それに応えるため、同社は生産を加速させたのですが、逆に供給過多となって値崩れを起こし倒産寸前となりました」(関編集局長)
この経験が「需要に乗るのではなく、需要を創出するビジネスでなければ、不況に勝つことはできない」と消費者ファーストの考えを生んだ。そこで大山社長が目をつけたのが生活用品だった。
「例えば『ペットは家族』というコンセプトを提案し、室内用のペット用品を展開するなど、消費者のニーズを考えて、新たな需要を創り出すビジネスに注力しました」(松下さん)
こうして同社はホームセンターを中心に約2万品目を展開して、生活になくてはならない存在となった。そして1989年に会社を大阪から仙台に移し、1991年には社名を現在の『アイリスオーヤマ株式会社』へと改めた。
※女性セブン2018年3月1日号