ビジネス

東京の都心マンション 赤坂や早稲田は賃貸で住むメリット大

都心は家賃が高いという既成概念は通用しなくなっている

 首都圏ではマンション価格が上昇を続け、局地バブルの様相となっている。もはや東京都心部に住むことは夢のまた夢と思われがちだが、「購入するには手が出ないバブルエリアも、賃貸ならお得に住める物件が見つかるケースが多い」と話すのは、住宅ジャーナリストの榊淳司氏だ。

 * * *
 東京の都心や大阪市、京都市の一部ではここ数年、マンションの価格が新築、中古ともに急激に上昇してしまった。

 10年前なら新築マンションの購入目安が「年収の5倍」程度であったが、今や年収の8倍でも住宅ローンが借りられる時代になっている。しかし、果たして年収の7倍、8倍の住宅ローンを組んでまで、マイホームを購入すべきなのか。

 仮に購入しないのなら、借りて住むことになる。マンションの価格は局地的にバブル化したが賃料はどうなのか。

 実は、マンションの売買価格ほど賃料は上昇していない。また、今後も上昇することはないはずだ。むしろ、賃料相場は中長期では下落していることが確実視される。

 理由を説明しよう。都心のマンションは、今や金融商品化している。「住むため」に購入されるケースが大半なのだが、「値上がり」や「賃貸運用」、あるいは「相続税対策」のための購入も多い。広い意味で言えば、それらは投資目的、ということになる。あたかも金融商品のように売買されているのだ。

 金融商品であれば、投資家の思惑で取引価格が変動する。「値上がりする」という見方ができれば買われるだろうし、「値下がりしそう」と考える投資家は売却を急ぐ。ここ5年ほどは、世界的な金融緩和や不動産価格の上昇傾向もあって、日本のマンションも局地的に大きく値上がりした。

 しかし、賃料には投資家たちの思惑が働かない。「借りておけば得する」というシステムが出来上がっていないからだ。だから、賃貸市場の需要はほとんどが「自分が住むため」という人々のニーズだ。

 そういった人々が払える賃料は、それぞれの収入によって決まる。ところが、この国ではもう20年以上にもわたって個人所得が増えていない。むしろ、この5年間は消費税や公共料金の値上がりなどもあって、実質的な可処分所得は減少している。

 個人の収入が伸びないのに、家賃だけ値上げしても借り手は見つからない。さらに言えば、借り手のベースとなる人口自体が減少している。にもかかわらず、新築住宅は一定数供給されるので、賃貸市場では常に供給が需要を上回っている。

 だから、東京や大阪といった大都市でも、賃料は中長期的に下落しつつある。その傾向は今後も変わらないだろう。

 そうなると、バブルエリアでは急激に「買うよりも借りた方が得」という現象が生じてくる。それは、激しく値上がりしたところほど顕著になっている。いくつか例を挙げてみよう。

関連キーワード

関連記事

トピックス

防犯カメラが捉えた緊迫の一幕とは──
《浜松・ガールズバー店員2人刺殺》「『お父さん、すみません』と泣いて土下座して…」被害者・竹内朋香さんの夫が振り返る“両手ナイフ男”の凶行からの壮絶な半年間
NEWSポストセブン
リモートワークや打合せに使われることもあるカラオケボックス(写真提供/イメージマート)
《警視庁記者クラブの記者がカラオケボックスで乱痴気騒ぎ》個室内で「行為」に及ぶ人たちの実態 従業員の嘆き「珍しくない話」「注意に行くことになってるけど、仕事とはいえ嫌。逆ギレされることもある」 
NEWSポストセブン
「最長片道切符の旅」を達成した伊藤桃さん
「西国分寺から立川…2駅の移動に7時間半」11000kmを“一筆書き”した鉄旅タレント・伊藤桃が語る「過酷すぎるルート」と「撮り鉄」への本音
NEWSポストセブン
ドジャース・山本由伸投手(TikTokより)
《好みのタイプは年上モデル》ドジャース・山本由伸の多忙なオフに…Nikiとの関係は終了も現在も続く“友人関係”
NEWSポストセブン
齋藤元彦・兵庫県知事と、名誉毀損罪で起訴された「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志被告(時事通信フォト)
NHK党・立花孝志被告「相次ぐ刑事告訴」でもまだまだ“信奉者”がいるのはなぜ…? 「この世の闇を照らしてくれる」との声も
NEWSポストセブン
ライブ配信アプリ「ふわっち」のライバー・“最上あい”こと佐藤愛里さん(Xより)、高野健一容疑者の卒アル写真
《高田馬場・女性ライバー刺殺》「僕も殺されるんじゃないかと…」最上あいさんの元婚約者が死を乗り越え“山手線1周配信”…推し活で横行する「闇投げ銭」に警鐘
NEWSポストセブン
伊勢ヶ濱親方と白鵬氏
旧宮城野部屋力士の一斉改名で角界に波紋 白鵬氏の「鵬」が弟子たちの四股名から消え、「部屋再興がなくなった」「再興できても炎鵬がゼロからのスタートか」の声
NEWSポストセブン
環境活動家のグレタ・トゥンベリさん(22)
《不敵な笑みでテロ組織のデモに参加》“環境少女グレタ・トゥンベリさん”の過激化が止まらずイギリスで逮捕「イスラエルに拿捕され、ギリシャに強制送還されたことも」
NEWSポストセブン
親子4人死亡の3日後、”5人目の遺体”が別のマンションで発見された
《中堅ゼネコン勤務の“27歳交際相手”は牛刀で刺殺》「赤い軽自動車で出かけていた」親子4人死亡事件の母親がみせていた“不可解な行動” 「長男と口元がそっくりの美人なお母さん」
NEWSポストセブン
荒川静香さん以来、約20年ぶりの金メダルを目指す坂本花織選手(写真/AFLO)
《2026年大予測》ミラノ・コルティナ五輪のフィギュアスケート 坂本花織選手、“りくりゅう”ペアなど日本の「メダル連発」に期待 浅田真央の動向にも注目
女性セブン
トランプ大統領もエスプタイン元被告との過去に親交があった1人(民主党より)
《電マ、ナースセットなど用途不明のグッズの数々》数千枚の写真が公開…10代女性らが被害に遭った“悪魔の館”で発見された数々の物品【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さん(時事通信フォト)
《ハワイで白黒ペアルック》「大谷翔平さんですか?」に真美子さんは“余裕の対応”…ファンが投稿した「ファミリーの仲睦まじい姿」
NEWSポストセブン