ライフ

【与那原恵氏書評】ユーモラスに語られる生命の営み

『英国王立園芸協会とたのしむ 植物のふしぎ』/ガイ・バーター・著/北綾子・訳

【書評】『英国王立園芸協会とたのしむ 植物のふしぎ』/ガイ・バーター・著/北綾子・訳/河出書房新社/2200円+税

【評者】与那原恵(ノンフィクションライター)

 花や木、果物や野菜などの植物や、鳥や地中の生き物たちまで、美しい図版がたっぷりおさめられていて、ページをめくっているだけでも楽しい本である。

 著者は、一八〇四年創立という英国王立園芸協会の園芸チーフアドバイザーだ。本書は、植物が好きな人、植物を育てている人がふと疑問に思うような約百三十の事柄をわかりやすく説明してくれる。とはいえ、単なる園芸法指南ではなく、さまざまな生命の営みを愛情込めて見つめ、ユーモラスに語っているのが本書の魅力だ。

 自然とは、本来、弱肉強食の世界である。植物たちはライバルを蹴落とし、繁殖に成功して子孫を残すための熾烈な戦いを繰り返している。生き残るためには手段を選ばず、情け容赦なくふるまうというのだが、読むうちに人間たちの世界を語っているようにも思えてくる。

 たとえば、木はどうしてあんなに大きくなるの? に対する回答は〈競争相手をしのいで生存競争に勝つには大きければ大きいほど有利になる。大きくなることで相手を自分の陰に追いやり、地中の水分と栄養を独り占めして、ほかの植物の生長を阻むことができるからだ〉。

関連記事

トピックス

水原一平氏はカモにされていたとも(写真/共同通信社)
《胴元にとってカモだった水原一平氏》違法賭博問題、大谷翔平への懸念は「偽証」の罪に問われるケース“最高で5年の連邦刑務所行き”
女性セブン
尊富士
新入幕優勝・尊富士の伊勢ヶ濱部屋に元横綱・白鵬が転籍 照ノ富士との因縁ほか複雑すぎる人間関係トラブルの懸念
週刊ポスト
3大会連続の五輪出場
【闘病を乗り越えてパリ五輪出場決定】池江璃花子、強くなるために決断した“母の支え”との別れ
女性セブン
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
大阪桐蔭野球部・西谷浩一監督(時事通信フォト)
【甲子園歴代最多勝】西谷浩一監督率いる大阪桐蔭野球部「退部者」が極度に少ないワケ
NEWSポストセブン
がんの種類やステージなど詳細は明かされていない(時事通信フォト)
キャサリン妃、がん公表までに時間を要した背景に「3人の子供を悲しませたくない」という葛藤 ダイアナ妃早逝の過去も影響か
女性セブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
大谷翔平に責任論も噴出(写真/USA TODAY Sports/Aflo)
《会見後も止まらぬ米国内の“大谷責任論”》開幕当日に“急襲”したFBIの狙い、次々と記録を塗り替えるアジア人へのやっかみも
女性セブン
創作キャラのアユミを演じたのは、吉柳咲良(右。画像は公式インスタグラムより)
『ブギウギ』最後まで考察合戦 キーマンの“アユミ”のモデルは「美空ひばり」か「江利チエミ」か、複数の人物像がミックスされた理由
女性セブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン