「アリエルの尾ひれは外国産の上質なシルク。とっても繊細な薄い生地で、しわが寄りやすい。毎日丁寧にアイロンがけをし、ほつれた部分は手縫いして修復するなど、細かく衣裳をメンテナンスしています」
アリエルのカツラをコテで巻いていた床山担当チーフの芳賀有紀子さんはこう話す。
「カツラに使われている髪の毛は人毛なので、終演後には巻きが崩れてしまいます。必ず本番前に巻き直しているんです」
そんなスタッフの熱意に応えるようにウオーミングアップ後、個人稽古に励んでいたのは、アリエル役の若奈まりえだ。下腹部だけでバーに乗ってバランスを取り、フライングの訓練をしていた。
「『リトルマーメイド』は、海の中を本当に泳いでいるように見せるフライングが最大の見せ場です。ワイヤーで宙に吊られて、腰を泳いでいるようにユラユラと動かしながらせりふを言ったり、歌ったりしなければなりません。同時にいろんなことを行わなければならないので、軸がぶれないように、こうして日々、体幹を鍛えています」
そんな若奈がアリエルを演じる上で、好きなシーンがあるという。
「魔法によって足を手に入れたアリエルが地上の世界へ飛び出していく瞬間です。アリエルの夢が叶った喜びを全身で表現しています」(若奈)
2013年の初演以来、観客動員数は述べ220万人。10月には大阪公演も始まり、今後もたくさんの人々が『リトルマーメイド』に心躍らされるだろう。
※女性セブン2018年3月29日・4月5日号