片山:そういう意味では、安倍政権には大川周明どころか安岡正篤(注5)もいないでしょうね。戦争ができるぞというポーズを保守派向けに見せようとしているだけに見えるのですが。
【注5/1898~1983。思想家。国家主義団体に参加後、私塾金鶏学院を設立。右翼革新的な官僚に強い影響を与える。終戦時の「玉音放送」の添削も任される】
佐藤:逆にいえば、だから安心なんですよ。私も安倍政権に侵略の思想を構築できるとは考えていません。
●かたやま・もりひで/1963年生まれ。慶應大学法学部教授。思想史研究家。慶應大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学。『未完のファシズム』で司馬?太郎賞受賞。近著に『近代天皇論』(島薗進氏との共著)。
●さとう・まさる/1960年生まれ。85年、同志社大学大学院神学研究科修了後、外務省入省。主な著書に『国家の罠』『自壊する帝国』など。本誌連載5年分の論考をまとめた『世界観』(小学館新書)が発売中。
※SAPIO2018年3・4月号