芸能

創立65年、劇団四季が愛される秘密に迫る5つのキーワード

上演中のアラジン役のほか『ライオンキング』のシンバ役なども演じている島村幸大

 数多くの人々に愛され続けている劇団四季の作品。どうして、これほどまでに多くの観衆の心をつかむのか。その秘密に迫ると“5つのキーワード”が浮かび上がった。

【1】作品至上主義

 松本白鸚の『ラ・マンチャの男』や故・森光子さんの『放浪記』など、看板俳優が公演を引っ張るロングラン作品は数多くあるが、劇団四季では俳優の名前を前面に出さない作品至上主義をポリシーとしている。

 かつて劇団四季の取締役を務めた音楽評論家の安倍寧氏が言う。

「通常、集客力のある俳優をメーンキャストに抜擢しますが、劇団四季では登場人物1人に対して、複数のキャストを立てます。例えば、主役のアラジンであっても日替わりで役者が変わる。世間的に名前が全く知られていない俳優が主演や準主役を演じていることもザラです。当初は“名前もわからない役者の演技に高い金を払いたくない”といった声もありましたが、今では作品のクオリティーの高さが周知されて、そういった批判的な声も聞かれなくなりました」

 劇団四季代表の吉田智誉樹さんが言う。

「お客様に見ていただきたいのは“俳優”ではなく、あくまで“作品”なんです。どの日、どこで見ても同じ感動を届けなくてはいけないという思いでいます」

 また、ロングラン公演を前提としている四季では、特定の俳優だけが1つの役を務められるわけではない。

「ライオンキングは今年上演20周年を迎えます。例えば、初演時に20才でシンバを演じた俳優が40才になった今も当時のパフォーマンスを維持しながら舞台に立つことは難しいでしょう。作品の寿命は、俳優の寿命より長いんです」(吉田さん)

【2】入るより生き残る方が難しい

 作品を守るため俳優の育成も厳しい。役を射止めるまでのステップは何段階にも分かれていると『リトルマーメイド』のアリエル役の若奈まりえが言う。

「オーディションを受けて合格すれば台本をもらえて、作品の稽古に参加することができます。ただし、この時点では役に選ばれたわけではない。稽古を重ねて、ようやく劇場でのお稽古へ進んでも、“やはり役のイメージに合わない”と判断されることもある。晴れて舞台に立てたとしてもレベルを維持できなければ即降板を言い渡されます。それほどまでに“作品第一”なのです」

関連キーワード

関連記事

トピックス

実業家の宮崎麗香
《セレブな5児の母・宮崎麗果が1.5億円脱税》「結婚記念日にフェラーリ納車」のインスタ投稿がこっそり削除…「ありのままを発信する責任がある」語っていた“SNSとの向き合い方”
NEWSポストセブン
峰竜太(73)(時事通信フォト)
《3か月で長寿番組レギュラー2本が終了》「寂しい」峰竜太、5億円豪邸支えた“恐妻の局回り”「オンエア確認、スタッフの胃袋つかむ差し入れ…」と関係者明かす
NEWSポストセブン
2025年11月には初めての外国公式訪問でラオスに足を運ばれた(JMPA)
《2026年大予測》国内外から高まる「愛子天皇待望論」、女系天皇反対派の急先鋒だった高市首相も実現に向けて「含み」
女性セブン
夫によるサイバーストーキング行為に支配されていた生活を送っていたミカ・ミラーさん(遺族による追悼サイトより)
〈30歳の妻の何も着ていない写真をバラ撒き…〉46歳牧師が「妻へのストーキング行為」で立件 逃げ場のない監視生活の絶望、夫は起訴され裁判へ【米サウスカロライナ】
NEWSポストセブン
東条英機・陸軍大将(時事通信フォト)
《戦後80年特別企画》軍事・歴史のプロ16人が評価した旧日本軍「最低の軍人」ランキング ワースト1位はインパール作戦を強行した牟田口廉也・陸軍中将 東条英機・陸軍大将が2位に
週刊ポスト
昭和館を訪問された天皇皇后両陛下と長女・愛子さま(2025年12月21日、撮影/JMPA)
天皇ご一家が戦後80年写真展へ 哀悼のお気持ちが伝わるグレーのリンクコーデ 愛子さまのジャケット着回しに「参考になる」の声も
NEWSポストセブン
訃報が報じられた、“ジャンボ尾崎”こと尾崎将司さん(時事通信フォト)
《ジャンボ尾崎さん死去》伝説の“習志野ホワイトハウス豪邸”にランボルギーニ、名刀18振り、“ゴルフ界のスター”が貫いた規格外の美学
NEWSポストセブン
西東京の「親子4人死亡事件」に新展開が──(時事通信フォト)
《西東京市・親子4人心中》「奥さんは茶髪っぽい方で、美人なお母さん」「12月から配達が止まっていた」母親名義マンションのクローゼットから別の遺体……ナゾ深まる“だんらん家族”を襲った悲劇
NEWSポストセブン
シーズンオフを家族で過ごしている大谷翔平(左・時事通信フォト)
《お揃いのグラサンコーデ》大谷翔平と真美子さんがハワイで“ペアルックファミリーデート”、目撃者がSNS投稿「コーヒーを買ってたら…」
NEWSポストセブン
愛子さまのドレスアップ姿が話題に(共同通信社)
《天皇家のクリスマスコーデ》愛子さまがバレエ鑑賞で“圧巻のドレスアップ姿”披露、赤色のリンクコーデに表れた「ご家族のあたたかな絆」
NEWSポストセブン
12月中旬にSNSで拡散された、秋篠宮さまのお姿を捉えた動画が波紋を広げている(時事通信フォト)
〈タバコに似ているとの声〉宮内庁が加湿器と回答したのに…秋篠宮さま“車内モクモク”騒動に相次ぐ指摘 ご一家で「体調不良」続いて“厳重な対策”か
硫黄島守備隊指揮官の栗林忠道・陸軍大将(写真/AFLO)
《戦後80年特別企画》軍事・歴史のプロ16人が評価した旧日本軍「最高の軍人」ランキング 1位に選出されたのは硫黄島守備隊指揮官の栗林忠道・陸軍大将
週刊ポスト