紀伊國屋書店の新宿本店が入居する紀伊國屋ビルディング


◆あの歴史的建造物も

 公表対象となったのは、病院やデパート、学校などの「要緊急安全確認大規模建築物」と「特定緊急輸送道路沿道建築物」(幹線道路沿いの高層建築物など)の2つのカテゴリーからなり、倒壊の危険性が3段階で示されている。

 その中で「最も危険(I)」とされた建物の一つが渋谷の109。建物を所有する道玄坂共同ビルの担当者はこう話す。

「耐震改修の基本設計はすでに済ませており、来年度中には改修工事に着手する予定です。ただ、10数人のオーナーさんが共同で所有する建物なので、改修計画についてもオーナーさんの間で見解の相違があります。もうすこし時間がかかってしまうかもしれません」

 紀伊國屋書店の新宿本店が入居する紀伊國屋ビルディングもそのひとつだ。世界的に著名なフランス人建築家のル・コルビュジェに師事し、近代建築を確立した一人といわれる前川國男氏の設計で、1964年に竣工。以来、半世紀以上にわたって、新宿のランドマークとして親しまれてきた。紀伊國屋書店に聞いた。

「昨年、東京都から〈歴史的建造物〉に選定してもらったところにこの発表だったので、戸惑っている面もあります。

 弊社は法令に基づいて都に耐震診断を提出しており、その当時から建物内部の耐震性を高める補強工事の検討を続けています。また、建物内の避難経路は常に確保されていますし、お客さまを誘導するための訓練も定期的に実施しています」(総務部)

※週刊ポスト2018年4月20日号

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