子どもの甲状腺検査の結果について、福島県民健康調査検討委員会は福島第一原発事故の影響とは考えにくいという見解を早々に出している。まるで、原発事故など早く忘れて、気にせず生きていこうといわんばかりである。
甲状腺検査は、原発事故当時18歳以下の子どもたち約38万人を対象に行なわれている。甲状腺がんが発見された子どもは、検査一巡目で116人、二巡目で71人、先月、発表された報告では三巡目で10人ということだった。合計197人が、原発事故後、甲状腺がんを発症したということである。
子どもの甲状腺がんはもともと少ないと言われているが、この結果を見ると決して少ないとは言えない。
ぼくが最も気になるのは、二巡目で発見された71人のうち、一巡目でまったく異常が見られない「A判定」とされた子どもが65人いたということだ。また、三巡目の10人のうち7人が、二巡目の検査ではA判定だった。
甲状腺がんの多くは、ゆっくり成長すると言われているが、1年から1年半の間に、A判定の子どもが甲状腺がんになっている。なかには、3cmものがんが見つかった子もいる。発症までの速さが気になるのだ。
長崎大学の光武範吏准教授は、福島の子どもの甲状腺がんの遺伝子を解析し、チェルノブイリの原発事故後6000人の子どもに発生した甲状腺がんとは違うタイプだと発表した。