国内

女人禁制 相撲は近代スポーツでなく祭事、説得は不可能

評論家の呉智英氏

 しきたりや伝統として行われていることには、いつの間にかそうなっていたものもあれば、宗教的な理由によって続いているものもある。評論家の呉智英氏が、現代社会の論理とは相容れない宗教と相撲について考察する。

 * * *
 三月九日号の週刊ポストで角界の「女人禁制」を論じたばかりだが、大相撲春巡業でまたこの問題が起きた。

 四月四日舞鶴市の巡業で土俵上であいさつ中の多々見良三市長が突然倒れ、客席にいた看護婦(俗に言う看護師)らが緊急救命処置のため土俵に上がったところ、場内放送で土俵から下りるように指示があった。市長はくも膜下出血だった。しかも、救命処置をした看護婦らが土俵を下りた後、土俵に清めの塩がまかれた。

 これについて日本相撲協会は「人命にかかわる状況では不適切な対応」と謝罪する一方、清めの塩については「骨折やけががあった際の通例であり、女性が土俵に上がったことは無関係」と苦しい言いわけをしている。

 二日後の四月六日宝塚市の巡業では、中川智子市長があいさつを土俵下でするよう要請され、それに従ったものの「女性差別」だとして「変革する勇気」を訴えた。

 前も述べたように、相撲は近代スポーツではなく、宗教に基づく祭事である。宗教内の論理は宗教外の論理としばしば背馳し、しかもこれを説得することは不可能なのである。

 我々は誰でも健康を望む。それ故健康増進のための啓発や教育が行なわれる。これによって、不健康な生活をしていた人はそれを改めるだろう。改めることができない人でも、改めた方がいいだろうと説得はされるだろう。

関連記事

トピックス

水原一平氏のSNS周りでは1人の少女に注目が集まる(時事通信フォト)
水原一平氏とインフルエンサー少女 “副業のアンバサダー”が「ベンチ入り」「大谷翔平のホームランボールをゲット」の謎、SNS投稿は削除済
週刊ポスト
解散を発表した尼神インター(時事通信フォト)
《尼神インター解散の背景》「時間の問題だった」20キロ減ダイエットで“美容”に心酔の誠子、お笑いに熱心な渚との“埋まらなかった溝”
NEWSポストセブン
水原一平氏はカモにされていたとも(写真/共同通信社)
《胴元にとってカモだった水原一平氏》違法賭博問題、大谷翔平への懸念は「偽証」の罪に問われるケース“最高で5年の連邦刑務所行き”
女性セブン
富田靖子
富田靖子、ダンサー夫との離婚を発表 3年も隠していた背景にあったのは「母親役のイメージ」影響への不安か
女性セブン
尊富士
新入幕優勝・尊富士の伊勢ヶ濱部屋に元横綱・白鵬が転籍 照ノ富士との因縁ほか複雑すぎる人間関係トラブルの懸念
週刊ポスト
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン
カンニング竹山、前を向くきっかけとなった木梨憲武の助言「すべてを遊べ、仕事も遊びにするんだ」
カンニング竹山、前を向くきっかけとなった木梨憲武の助言「すべてを遊べ、仕事も遊びにするんだ」
女性セブン
大ヒットしたスラムダンク劇場版。10-FEET(左からKOUICHI、TAKUMA、NAOKI)の「第ゼロ感」も知らない人はいないほど大ヒット
《緊迫の紅白歌合戦》スラダン主題歌『10-FEET』の「中指を立てるパフォーマンス」にNHKが“絶対にするなよ”と念押しの理由
NEWSポストセブン