今、再再度、日本ブームは落ち着いている。このように日本のイメージは増えたり減ったりを繰り返している。ハリウッドが日本や中国の市場を意識していない訳ではないが、基本的にアメリカ人が興味を持ったことを取り上げているのだ。
前述の『オデッセイ』について言えば、中国に阿ったというより、有人宇宙飛行が可能な国が米中ロの3か国という現状を踏まえたものだろう。それに嫉妬するのは少々了見が狭いのではないか。中国については、その文化や日常を描いたハリウッド作品はまだ少ない。むしろ、これから中国がどう描かれていくかを楽しんでほしい。
●もんま・たかし/1964年秋田県生まれ。多摩美術大学芸術学科卒業。シードホール勤務、山形国際ドキュメンタリー映画祭フィルム・コーディネーターなどを経て、明治学院大学助教授。2017年より現職。著書に『欧米映画にみる日本』(社会評論社)などがある。
※SAPIO2018年3・4月号