「主婦パートのかたはコミュニケーション能力が高いので、固定客の心を掴んだり、スタッフの人間関係を円滑に回すのが上手。店長と若いスタッフのパイプ役になってくれるかたもいます。お店にとって主婦のスタッフさんは“宝物”なんです」(前出・寺崎氏)
そうした能力に注目した澤田社長は主婦パートの活躍の場を広げるために新たな手段に打って出た。
「主婦スタッフを10万人に増やすべく、彼女たちの魅力を伝えるパンフレットを全店に配布して採用を促しました。また、弊社ホームページ内に、主婦専用の採用ページを開設して、週1~2日、1日4時間以内といった短時間シフトにも対応できるようにしました。
さらにパートのかたでも能力に応じて『マスター』や『トレーナー』と資格がレベルアップするシステムがありますが、昨年から一定の条件を満たせば社員登用へと繋がっていく制度を整えました」(前出・寺崎氏)
コンビニが主婦を必要とする一方で、主婦にとってもコンビニは“最高の職場”となりうる可能性が高い。
「全国5万5000店舗といわれるコンビニは、たいてい自宅から自転車で通える距離にあります。そのため、子育ての合間など、ごく短時間の働き方に対応しやすい。さらに昨今は子育てママに優しい店舗が増えている。コンビニでの仕事は主婦にとってメリットは大きい」(前出・渡辺氏)
◆政府も働くママ支援を推進
政府も“働くママ”支援を急ぐ。昨年12月には、企業が従業員や地域の子供を預かる「企業主導型保育園」の受け皿の目標人数を7万人から9万人に増やしている。
「今後はコンビニだけでなく、流通業や福祉などさまざまな分野で同様の動きがでてくると思われます」(前出・島谷氏)
実際、牛丼チェーンの『すき家』などを展開するゼンショーホールディングスは2015年9月オープンの『かがやき保育園つくば(茨城県つくば市)』を皮切りに、現在4店舗の保育園を運営している。ゼンショーグループに勤務する正社員、パートの子供が対象だ。
月額の利用料は5000~1万円(利用日数によって異なる)で、「一時預かり」は1時間100円で利用できる。
「5月には5つ目の保育園を水戸市内にオープンする予定です。評判は上々で、特に預かり時間の変更などに、柔軟に対応することが喜ばれているようです」(同社広報)
※女性セブン2018年5月3日号