──カジノがある海外の国では依存症対策は日本よりもはるかに進んでいる。
田中:はい。スクリーニングテストによるギャンブル依存症の早期認識や対策センターの設置、カウンセラーによる支援体制や子どもへの予防教育まで、さまざまな対策を講じている国は数多くあります。
その一方、日本は諸外国、とりわけアジアの中でも最もギャンブル依存症対策で遅れをとっています。その理由は、自己責任論のほか、日本の家文化や恥の概念といった要素も大きかったと思います。
──カジノが作られようとしている今こそ包括的な対策を進めるべき。
田中:その通りです。これだけ依存症者が増えて事件化するケースも多発するいま、当事者やその家族に対する継続的かつ中身の伴ったサポート体制を構築しなければ、ギャンブル依存症問題はますます深刻になっていくでしょう。
私もギャンブル依存に長年苦しんだ経験者として、依存症者が“暗黒の時代”からいち早く抜け出せるよう、引き続き支援活動を続けていくつもりです。
●たなか・のりこ/1964年東京生まれ。昭和女子大短大卒業。デパートや弁護士事務所に勤務。ギャンブル、買い物依存症になった経験から、2010年、依存症問題を抱える家族を支援するカウンセラーになる。2014年「ギャンブル依存症問題を考える会」を立ち上げ代表に就任。現在は依存症予防教育の重要性も説き、全国の学校や企業などで積極的に講演活動も行っている。著書に『三代目ギャン妻の物語』(高文研)、『ギャンブル依存症』(角川新書)がある。
■撮影/内海裕之(田中氏)