◆私は結婚も仕事も子供も手に入れたい
20名ほどが集まったOB会に来ていたのは、ユミさんの代だけではなかった。だから初めて顔を合わせる人も多かったが、懐かしい恩師の名前や、ゼミで議論を戦わせたテーマが話題に上ると、初対面の人ともすぐに仲よくなれた。もちろん、偶然隣りに座っていた真二さんとも。
「知らない顔だったので、1コか2コ先輩かなと思ったら、同級生だったんです(笑)。卒業してかれこれ20年も経っていたから、すっかり存在を忘れていました。でも、彼は私のことをよく覚えてくれていたんです。〈ユミちゃんは、学生時代に宣言していた通りの人生を送ってそうだね〉と言われて、びっくりしてしまって」
どうやらユミさんは、社会に出たらバリバリ働いて、40前までに結婚したい、私は結婚も仕事も子供も手に入れたい──と、学生時代から語っていたようなのだ。
「恥ずかしながら、まだ全然そんなことないんだと言うと、ちょっと深い話になってきて、この後2人で飲みなおそう、という流れになったんです」
真二さんは独身だった。アラフォーが集まる中で、独身男性は希少だった。ユミさんは自分の心がいつになく浮き立っているのを感じていた。