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2018.05.18 07:00  女性セブン

新潟女児殺害、事故扱いを回避できた“遺体との会話”

 解剖用の白衣を着用したA教授と助手たちは小さな遺体を前にして、まずは合掌し、遺体に被せられた布を取った。

「鉄道事故の遺体の状態はさまざまです。損傷が激しく顔などの身体的特徴がわからない場合、DNA鑑定が行われます。遺体が珠生ちゃんであることはお母さんが確認されたということなので、顔はきれいな状態だったのでしょう」(元検視官)

 A教授もまず注目したのは、遺体の出血が少なかったことだ。生きている人間が列車に轢かれれば大量に出血するが、死んだ人間は心臓が止まって体温が低下し、体が死後硬直するため、列車に轢かれても血はほとんど出ない。

「遺体は死後、線路上に遺棄されたに違いない」との疑いを強めたA教授は遺体の首まわりの傷をひとつひとつ丁寧に調べ始めた。すると、わずかに首を絞めた痕跡が見つかった。

 改めて遺体の顔をよく調べると、うっすらと赤みがかかってうっ血している。これは首を絞められて窒息死したしるしに他ならない。

 さらに検分を進めると、遺体の口元に押さえつけられたような跡を発見。遺体の頭部にメスを入れて、頭蓋骨の底部を確認した。

 人間は首を絞められると、頭蓋骨に達する頸動脈の血流が分断されて、白い頭蓋骨にうっ血の痕跡が残る。その痕跡を確認したA教授は、「女児は絞殺された」と確信した。

 続いてA教授は、遺体の胃に残された内容物を調べ、昼食として食べた給食の残り具合から、珠生ちゃんは遅くとも午後8時までに亡くなり、遺棄されたと結論づけた。すなわち、午後3時15分に下校途中で友人と別れた後、あまり時間をおかずに殺害されたと推定できたのだ。

 A教授とスタッフは「遺体との会話」を通じて、女児の死因と死亡時間を突き止め、犯人の死因の隠蔽の意図を打ち砕いた。鉄道事故の遺体の司法解剖が簡単ではないことは、想像に難くない。

「早朝に始まった司法解剖が終わったのは、正午頃でした。一刻を争う中で集中して作業を進めても、5時間ぐらいかかったそうです。解剖の途中経過を含めてA教授のチームからの報告を受け、殺人事件の捜査のための捜査本部が設置されたのは夕方4時30分頃のことでした」(前出・捜査関係者)

 すべての確認事項を終えると、A教授は遺体を丁寧に縫い合わせてから、最後にもう一度、助手とともに手を合わせた。

 司法解剖についてA教授に話を聞くと、「私たちは事件についてはお話をできません」と話すのみだった。

◆「他殺の証拠を隠すことはできません」

 法医学は「遺体との会話」を通じてその死因を突き止めることで、「死者の人権」を守ると上野さんは指摘する。

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