「当時のアイドルはデビュー曲が売れても、1年後にどうなるかわからない状態だった。その中で、デビューから11年間オリコンベストテン入りをした秀樹さんは男性アイドルが芸能界で生きて行けることを証明した」
現在では歌手をデータで評価する場合、オリコンが真っ先に挙げられる。だが、1970年代後半から1980年代にかけては、音楽チャート誌、有線放送、ハガキリクエスト、ラジオチャートの4つを組み合わせて総合得点を算出していた音楽番組『ザ・ベストテン』(TBS系)が最もメジャーなチャートだった。この番組でも、西城さんが残した足跡は大きい。
「満点である9999点を叩き出した唯一の歌手であることは有名ですが、番組開始の1978年から1985年までの8年連続でランクイン。開始時から数えた場合、最多の連続年数出演になります。同時期の歌手と比べると、沢田研二や郷ひろみの5年(1978~82年)、世良公則&ツイスト、アリスの3年(1978~80年)を大きく上回っている。息の長い歌手だった何よりの証明です。通算ランクイン155回は番組史上6位。1970年代以前デビューの歌手では、秀樹さんが1位です」
生涯現役にこだわった男は亡くなる1か月前までステージに立ち続けた。
「数年前、ライブを観覧した時、秀樹さんは満足に歩けない状態でした。それでも、ステージ上に作られたスロープを使って、少しでもファンの近くに行こうとする懸命な姿に感銘を受けました。ファンもそんな秀樹さんに惜しみない拍手を送り、ペンライトを振って盛り上がる。ものすごく心温まるステージでした。