こうした日大の拡大路線には「統一感が欠けている」という印象が拭えない。例えば、日大には2つの歯学部がある。一つは神田駿河台にある日大歯学部。もう一つは松戸市にある松戸歯学部だ。神田の歯学部は1916年に設立された東洋歯科医学校が前身で、5年後に日大と合併した。松戸歯学部は1971年に日本大学松戸歯科大学として開学し、5年後に改称した。
卒業後は同じ歯科医となるが、同窓会組織は別に存在する。あるOBは「学部が違うと別の大学のようなもの」と話した。
2015年には、創立130周年に向けたプロジェクトの一環として、念願とされてきた系列小学校が神奈川県藤沢市に開校したほか、2017年には東京・世田谷に認定こども園も開園させた。
高等教育から幼児保育まで拡大路線は今も続いている。しかし、「100万人のOB」たちの間には、どこか、“あいまいな結束力”しか備わっていないようだ。
※週刊ポスト2018年6月8日号