◆人と一緒に歩くことがこんなに楽しいなんて
芝田さんの指導と準備体操の後、公園内を歩き始めた。
家族連れでにぎわう広場、新緑を仰ぐ散策路、東京湾からの潮風を感じる葛西渚橋、池のほとりの観測窓をのぞき見しながら歩く鳥類園ゾーンなど、次々に趣の違う景観が目に飛び込み、初めこそ手足の動きに気を取られる人が多かったが、すぐに顔を上げ、笑顔になった。
失礼ながらご高齢ばかりのグループだが、リズムに乗って歩調がスピーディー。いろいろな音、におい、空気が絶え間なく刺激を与えてくれるのも、外歩きのよさだろう。この日最年長の85才の女性は、2回目の参加だという。
「家にいたら、こんなにいろいろな人や風景には絶対、会えないでしょ? 歩くことが本当に楽しいの。前回参加した後“マイ・ポール”を買って、家の周りを歩いて練習したんですよ」と、終始上機嫌。
練習の成果か、遅れることなくスムーズな歩調。頬も紅潮し、気持ちよさそうだ。また腕の振りが大きく、ひと際カッコよく歩く60代女性の後ろ姿に惹かれた。
「以前、けがで入院したときにリハビリにとすすめられて始めたのがきっかけです。今日、おへそを意識して歩くといいと教わったら、ホント!歩きやすい。上半身も鍛えられる感じがいいですね」
1人で参加している男性陣は、健康診断の血圧値や尿酸値の話題で盛り上がっていた。知らない人との交流が難しいといわれる男性も、そこは同世代、体を動かした解放感が手伝っているのかも。
約3kmのコース。途中のビューポイントでボランティアガイドさんから説明を受けたり、園内を巡るパークトレインの子供たちに手を振ったりと、盛りだくさんの約1時間を経て、全員無事に完歩した。
※女性セブン2018年6月7日号