ライフ

海に撒く「散骨」で遺族が「遺骨ロス」になるケースも

ジャーナリスト、浄土宗僧侶の鵜飼秀徳氏

 簡素で格安な葬儀が人気となっている。参列者を集めないタイプの「家族葬」、葬式をせずダイレクトに火葬する「直葬」、そして墓を建てず遺骨を海に撒く「散骨」、遺骨を宅配便で寺院に送って供養してもらう「送骨」……では、そこに問題はないのか? 浄土宗僧侶でジャーナリストの鵜飼秀徳氏が分析する。

 * * *
 新しい葬送サービスには、注意が必要だ。

 例えば散骨。確かに散骨をすれば、墓地代や管理費が抑えられる。だが、ある散骨業者に取材をしたところ、全てを散骨する遺族は全体の2割程度で、遺骨の一部を海に撒き、一部は永代供養にすることが多いという。故人は海洋散骨を希望していたが、親戚一同の同意が得られず、折衷案として部分散骨にするというケースだ。この場合、二重に費用がかかってくる。

 また、全部散骨した場合、その後、「遺骨ロス」になるケースもあると聞く。お盆やお彼岸が到来し、帰省・墓参りのニュースを見るたびに、「わが家には手を合わせる墓がない。故人の遺志を尊重して全て散骨したことが正しかったのか」と、苦悩してしまうのだ。

 送骨もリスクがある。愛媛県の寺院が送骨のための納骨堂経営の許可申請をしたところ、行政が不許可とした。全国から宅配便を使って遺骨を集めれば、納骨堂の収容力を超えてしまう危険性があることなどが理由だった。この処分を巡ってはその後裁判になり、2014 年に高松高裁は寺院側の訴えを退けている。

関連キーワード

関連記事

トピックス

東京都慰霊堂を初めて訪問された天皇皇后両陛下と長女・愛子さま(2025年10月23日、撮影/JMPA)
《母娘の追悼ファッション》皇后雅子さまは“縦ライン”を意識したコーデ、愛子さまは丸みのあるアイテムでフェミニンに
NEWSポストセブン
2023年に結婚を発表したきゃりーぱみゅぱみゅと葉山奨之
「傍聴席にピンク髪に“だる着”姿で現れて…」きゃりーぱみゅぱみゅ(32)が法廷で見せていた“ファッションモンスター”としての気遣い
NEWSポストセブン
渡邊渚さんの最新インタビュー
渡邊渚さんが綴る「PTSDになった後に気づいたワーク・ライフ・バランスの大切さ」「トップの人間が価値観を他者に押しつけないで…」
NEWSポストセブン
女優の趣里とBE:FIRSTのメンバーRYOKI(右/インスタグラムより)
《趣里が待つ自宅に帰れない…》三山凌輝が「ネトフリ」出演で超大物らと長期ロケ「なぜこんなにいい役を?」の声も温かい眼差しで見守る水谷豊
NEWSポストセブン
ルーヴル美術館での世紀の強奪事件は瞬く間に世界を駆け巡った(Facebook、HPより)
《顔を隠した窃盗団4人組》ルーブル美術館から総額155億円を盗んだ“緊迫の4分間”と路上に転がっていた“1354個のダイヤ輝く王冠”、地元紙は「アルセーヌ・ルパンに触発されたのだろう」
NEWSポストセブン
活動休止状態が続いている米倉涼子
《自己肯定感が低いタイプ》米倉涼子、周囲が案じていた“イメージと異なる素顔”…「自分を追い込みすぎてしまう」
NEWSポストセブン
松田聖子のモノマネ第一人者・Seiko
《ステージ4の大腸がんで余命3か月宣告》松田聖子のものまねタレント・Seikoが明かした“がん治療の苦しみ”と“生きる希望” 感激した本家からの「言葉」
NEWSポストセブン
“ムッシュ”こと坂井宏行さんにインタビュー(時事通信フォト)
《僕が店を辞めたいわけじゃない》『料理の鉄人』フレンチの坂井宏行が明かした人気レストラン「ラ・ロシェル南青山」の閉店理由、12月末に26年の歴史に幕
NEWSポストセブン
森下千里衆院議員(共同通信社)
《四つん這いで腰を反らす女豹ポーズに定評》元グラドル・森下千里氏「政治家になりたいなんて聞いたことがない」実親も驚いた大胆転身エピソード【初の政務三役就任】
NEWSポストセブン
ナイフで切りつけられて亡くなったウクライナ出身の女性イリーナ・ザルツカさん(Instagramより)
《19年ぶりに“死刑復活”の兆し》「突然ナイフを取り出し、背後から喉元を複数回刺した」米・戦火から逃れたウクライナ女性(23)刺殺事件、トランプ大統領が極刑求める
NEWSポストセブン
『酒のツマミになる話』に出演する大悟(時事通信フォト)
『酒のツマミになる話』が急遽差し替え、千鳥・大悟の“ハロウィンコスプレ”にフジ幹部が「局の事情を鑑みて…」《放送直前に混乱》
NEWSポストセブン
『週刊文春』によって密会が報じられた、バレーボール男子日本代表・高橋藍と人気セクシー女優・河北彩伽(左/時事通信フォト、右/インスタグラムより)
「近いところから話が漏れたんじゃ…」バレー男子・高橋藍「本命交際」報道で本人が気にする“ほかの女性”との密会写真
NEWSポストセブン