携帯電話の電話帳や年賀状は会社関係の名前ばかり。近所とは定年まで個人としての付き合いをほとんどしてこなかったC氏はある時、町内会の役員に立候補した。
「町内会の活動に興味があったのではなく、役員になると“渉外用の名刺が支給される”という理由からでした。定年後、肩書きがないという違和感から抜け切れず、なんとかしようと思った。廃品回収の当番など思った以上にやることが多く、“肩書きが欲しい”なんて動機で始めたもんだから、結局、半年ほどで“幽霊役員”になってしまいました」(C氏)
定年後の人生は「昔の名前」が通用しなくなる。だからといって何でもいいから「今の肩書き」を手に入れれば良いというわけでもないようだ。
※週刊ポスト2018年6月15日号