「警察と一緒になって左翼学生の弾圧にあたった体育会の学生は、後に警視庁に少なからず就職していき、日大体育会と警察のパイプは太くなっていきました。田中さんは大学に残って相撲指導者の道を選びますが、2000年に体育会の予算を差配する保健体育審議会事務局長に就いて大学側でその人脈を手中で束ねることになる」(前出・相撲部OB)
警察への“人材供給源”としての日大の地位は、データにも現われている。
2017年の大学別の警察官採用ランキング(『大学ランキング2019』)によると、日大が158人で首位。2位の国士舘(150人)とは僅差だが、他大学には大きく差をつけている。ちなみに、警視庁にはアメフトの社会人チーム「イーグルス」があり、昨季は3人の日大出身選手が登録されていた(アメフト専門誌『ハドルマガジン』2017年9月号)。
一方、本特集「日本大学の解剖」の第1弾(週刊ポスト6月8日号)で触れたように、田中理事長の肝いりで2016年に設立された危機管理学部には多数の警察OBが研究者として迎えられている。
日大の学生が警察に就職し、警察OBが日大に再就職する──日大闘争から50年が経ったいま、そんな構図があるのは確かだ。
※週刊ポスト2018年6月22日号