そして、大阪での地震は、在京局にとっては“対岸の火事”に近いものがあるのだろうか?

 実は私は、東日本大震災が発生した日、『情報ライブ ミヤネ屋』に生出演していた。阪神淡路大震災を経験している社員やスタッフが多い読売テレビでは、地震報道に関するマニュアルが完璧で、当時、アシスタントをしていた森若佐紀子アナが「早く、津波情報を」と言い続けていたことをいまでも覚えている。

 だが、直後、東京のスタジオからのニュースカメラが映していたのは、お台場付近のビルから煙が上がっている様子だった。フジテレビの近くだから…と感じたのは私だけだろうか。

 そして2年前の鳥取県中部地震のときも、私は『~ミヤネ屋』に生出演していた。発生が番組開始12分後のことで、後半は地震特番に切り替わった。

 それはやはり、読売テレビの報道スタッフたちが阪神淡路大震災を経験しているからに他ならない。

 だが、それから23年が経ち、読売テレビのアナウンサーも半数以上が「阪神大震災の報道を知らない世代」だという。

 3年前、読売テレビでは、トークライブ企画「アナウンサーが語り継ぐ『阪神淡路大震災20年』」を開催、若手アナを聞き手に、先輩アナらが体験をトークし、「命に係わる重大なテーマ」でのインタビュー力について説いた。

 参加アナの中には、阪神淡路大震災を機に、防災士の資格を取得している者もいて、被災者のもっとも近くで寄り添ってきた彼らならではの、ためになる話が多数あったと聞いた。

 その中心メンバーで、いまは同局を退社した脇浜紀子アナ(当時)が言っていたのは、「阪神淡路大震災の2か月後、東京で地下鉄サリン事件が起きたことで、在京局制作の番組では、阪神大震災のニュースが激減してしまいました。まだまだ伝えたいことはたくさんありました」と。

 阪神淡路大震災にまつわるニュースや新聞記事は、東京では1月中旬に集中しており、東日本大震災のニュースでさえ、3月初旬に集中しているように思える。

 3年前、阪神大震災について扱った『クローズアップ現代』(NHK)で、「街は復興したけれど、暮らしや心の復興は半分」と、当時、働き盛りだった方々が異口同音に言っておられたのが忘れられない。

 こうして偉そうに書いているが、大地震の日、生番組に出演していた私でさえ、正直、忘れてしまうことがある。震災の記憶を確かなものにしたり、消え去らないようにしたりするのが報道の役目なのではないか。

 在京テレビ局はもう少し、被災地のテレビ局から学ぶべきではないだろうか。

関連記事

トピックス

西内まりやがSNSで芸能界引退を発表した(Aflo)
《西内まりやが芸能界引退へ》「自分らしい人生を見つけていきたい」理由のひとつに「今年になって身内がトラブルを起こしていることが発覚」【自身のインスタで発表】
NEWSポストセブン
出演しているCMの画像や動画が続々と削除されている永野芽郁
《“二の矢”で一気に加速》永野芽郁、止まらない“CM削除ドミノ”  旬の著名人起用で“チャレンジ”続けてきたサントリーからも消えた 永野にとっても大きな痛手に
NEWSポストセブン
中居の女性トラブルで窮地に追いやられているフジテレビ(右・時事通信フォト)
《フジテレビ第三者委に反論》中居正広氏の心中に渦巻く“第三者委員会への不信感” 「最初から“悪者扱い”されているように感じていた」との関係者証言も
NEWSポストセブン
真剣交際が報じられた犬飼貴丈と指原莉乃(SNSより)
《仮面ライダー俳優・犬飼貴丈と真剣交際》“芸能界の財テク王”指原莉乃の「欲しいもの全部買ってあげる」恋愛観、私服は6万超え高級Tシャツ
NEWSポストセブン
母の日に家族写真を公開した大谷翔平(写真/共同通信社)
《長女誕生から1か月》大谷翔平夫人・真美子さん、“伝説の家政婦”タサン志麻さんの食事・育児メソッドに傾倒 長女のお披露目は夏のオールスターゲームか 
女性セブン
奥本美穂容疑者(32)の知られざる”アイドル時代”とは──(本人SNSより)
《フリフリのセーラー服姿》覚せい剤で逮捕の美人共犯者・奥本美穂容疑者(32)の知られざる“病み系アイドル時代”【レーサム元会長とホテルで違法薬物所持の疑い】
NEWSポストセブン
ぐんぐん上昇する女優たちのCMギャラ(左から新垣結衣、吉永小百合、松嶋菜々子/時事通信フォト)
【有名女優のCMギャラ一覧表】1億円の大台は80代と50代の2人 10本超出演の永野芽郁は「CM全削除なら5億円近く吹っ飛ぶ」の声も
週刊ポスト
万博初日、愛子さまは爽やかな水色のセットアップで視察された(2025年5月9日、撮影/JMPA)
《雅子さまとお揃いパンツスーツ》万博視察の愛子さま“親子シミラールック”を取り入れたコーデに「ネックレスのデザインも相似形でした」【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
違法薬物を所持したとして職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(Instagramより)
《美女・ホテル・覚せい剤…》元レーサム会長は地元では「ヤンチャ少年」と有名 キャバ嬢・セクシー女優にもアテンダーから声がかかり…お手当「100万円超」証言
NEWSポストセブン
中居の女性トラブルで窮地に追いやられているフジテレビ(右・時事通信フォト)
【独占直撃】元フジテレビアナAさんが中居正広氏側の“反論”に胸中告白「これまで聞いていた内容と違うので困惑しています…」
NEWSポストセブン
不倫報道の渦中、2人は
《憔悴の永野芽郁と夜の日比谷でニアミス》不倫騒動の田中圭が舞台終了後に直行した意外な帰宅先は
NEWSポストセブン
違法薬物を所持したとして職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(Instagramより)
〈シ◯ブ中なわけねいだろwww〉レースクイーンにグラビア…レーサム元会長と覚醒剤で逮捕された美女共犯者・奥本美穂容疑者(32)の“輝かしい経歴”と“スピリチュアルなSNS”
NEWSポストセブン