報告書の指摘が見落とされる他の要因として、放射線診断専門医の意見を、診療科の担当医が“軽視”しているという声もある。医療ジャーナリストの油井香代子氏が言う。

「放射線診断専門医は、患者を直接診療しているわけではないため、患者の担当医や執刀医のほうが“責任や立場が上”という考え方があります。放射線科医の意見は参考程度にしか聞かない医師が多いのも事実。医者の中にも“ヒエラルキー”があるのです。医大生の間でそうした理由から放射線科医が不人気なのも、人数不足の原因となっている」

 米国では内科、外科、小児科など各々の学会が専門医の必要数を算出し、これに基づいてそれぞれの診療科に属する医師の人数制限を行なっている。一方、日本では医学生はどの診療科を選択するかが自己判断に委ねられているため、外科や内科に人気が集まりがちだ。

 制度が変わらない限り、放射線科の専門医の数は今後も増えていかないだろう。

※週刊ポスト2018年6月29日号

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