一方で、副作用を“説明しにくい”という事情もあるようだ。

「認知機能の低下が薬剤の副作用によるものなのか、加齢によるものなのかの判断は非常に難しいという事情もある」(都内の病院勤務の内科医)

 副作用の周知の必要性について、製薬会社はどう考えているのか。抗コリン薬『ベシケア錠』を販売するアステラス製薬広報部はこう答える。

「副作用について患者さんに直接啓発はしていませんが、ルールに基づいて添付文書に記載し、MRを通じて医師や医療従事者に説明しています」

 抗精神病薬「エビリファイ内用液」を製造販売する大塚製薬広報部の話。

「医療従事者や患者さん向けの資料にて使用上の注意や副作用に関する啓発を行なっています。例えば、添付文書の『副作用』欄では、『その他の副作用』として認知症の発現頻度が1%未満であることを記載しています」

 もし、これらの薬を服用している場合どうすべきか。前出・榎本氏がいう。

「添付文書によれば、認知機能障害の副作用が起こる割合は高いものでも5%程度ですので、過剰な心配はありませんが、まずは医師に相談のうえ、代替可能な別の薬に替えることを検討してみるといいでしょう。最近では脳の機能を落とさない新薬も出てきています」

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