国際情報

米朝決裂か 核捨てる気ない金正恩と二枚舌トランプ政権の愚

米朝交渉はまた失敗に終わるのか(時事通信フォト)

 シンガポールで歴史的な米朝首脳会談が開かれてから、はや1か月以上が経った。だが、金正恩朝鮮労働党委員長がトランプ米大統領の求めに応じたとされる「非核化」については、一向にその道筋が見えてこない。やはり北朝鮮は核廃棄の意志など毛頭なかったのではないか。朝鮮半島問題研究家の宮田敦司氏が非核化実現の可能性を探る。

 * * *
 ポンペオ米国務長官は7月7日、平壌で金英哲(キム・ヨンチョル)副委員長との実務者協議を終えた。ポンペオ氏は非核化の工程表を含めて「極めて生産的。多くの進展があった」「ほぼ全ての分野で進展があった」と金副委員長との協議を評価した。また、北朝鮮側とは非核化の検証などに関する複数の作業部会を設置することで合意したということだ。

 しかし、北朝鮮の反応は真逆だった。北朝鮮外務省報道官は声明を出し、「一方的でギャングのような非核化要求だった」「非核化への我々の意思が、揺らぎかねない危険な局面に直面することになった」と批判した。

 北朝鮮がこうした反応を示すのは、ポンペオ氏が7月8日の共同会見で「北朝鮮が求める安全の保証は行うし、関係を改善する。しかし、制裁の解除は別物。非核化が完全に達成されるまで続ける」と述べたように、強力な制裁を継続すると表明していることへの反発なのかもしれない。

 金正恩委員長は今年になって3回訪中しているが、このような習近平主席と金正恩委員長の緊密ぶりと、今回の北朝鮮外務省声明は無関係ではないだろう。

 北朝鮮側の態度は外交的なゆさぶりなのかもしれないが、経済制裁が段階的に緩和され、経済支援を受け取ることが出来ないのなら、米国と非核化のための交渉を行う意味はないと判断しているのかもしれない。

 北朝鮮は、経済と軍を再建できるほどの莫大な経済支援があれば別として、非核化を行う気はないのだから、何かきっかけがあれば、これまでと同様に米国との交渉を打ち切るだろう。北朝鮮の立場から見れば、二枚舌のトランプ政権は信頼できる交渉相手とはいえない。

関連記事

トピックス

硬式野球部監督の退任が発表された広陵高校・中井哲之氏
【広陵野球部・暴力問題で被害者父が告白】中井監督の退任後も「学校から連絡なし」…ほとぼり冷めたら復帰する可能性も 学校側は「警察の捜査に誠実に対応中」と回答
NEWSポストセブン
隆盛する女性用ファンタジーマッサージの配信番組が企画されていたという(左はイメージ、右は東京秘密基地HPより)
グローバル動画配信サービスが「女性用ファンタジーマッサージ店」と進めていた「男性セラピストのオーディション番組」、出演した20代女性が語った“撮影現場”「有名女性タレントがマッサージを受け、男性の施術を評価して…」
NEWSポストセブン
『1億2千万人アンケート タミ様のお告げ』(TBS系)では関東特集が放送される(番組公式HPより)
《「もう“関東”に行ったのか…」の声も》バラエティの「関東特集」は番組打ち切りの“危険なサイン”? 「延命措置に過ぎない」とも言われる企画が作られる理由
NEWSポストセブン
海外SNSで大流行している“ニッキー・チャレンジ”(Instagramより)
【ピンヒールで危険な姿勢に…】海外SNSで大流行“ニッキー・チャレンジ”、生後2週間の赤ちゃんを巻き込んだインフルエンサーの動画に非難殺到
NEWSポストセブン
〈# まったく甘味のない10年〉〈# 送迎BBA〉加藤ローサの“ワンオペ育児”中もアップされ続けた元夫・松井大輔の“イケイケインスタ”
〈# まったく甘味のない10年〉〈# 送迎BBA〉加藤ローサの“ワンオペ育児”中もアップされ続けた元夫・松井大輔の“イケイケインスタ”
NEWSポストセブン
Benjamin パクチー(Xより)
「鎌倉でぷりぷりたんす」観光名所で胸部を露出するアイドルのSNSが物議…運営は「ファッションの認識」と説明、鎌倉市は「周囲へのご配慮をお願いいたします」
NEWSポストセブン
逮捕された谷本容疑者と、事件直前の無断欠勤の証拠メッセージ(左・共同通信)
「(首絞め前科の)言いワケも『そんなことしてない』って…」“神戸市つきまとい刺殺”谷本将志容疑者の“ナゾの虚言グセ”《11年間勤めた会社の社長が証言》
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
“タダで行為できます”の海外インフルエンサー女性(26)が男性と「複数で絡み合って」…テレビ番組で過激シーン放送で物議《英・公共放送が制作》
NEWSポストセブン
ロス近郊アルカディアの豪
【FBIも捜査】乳幼児10人以上がみんな丸刈りにされ、スクワットを強制…子供22人が発見された「ロサンゼルスの豪邸」の“異様な実態”、代理出産利用し人身売買の疑いも
NEWSポストセブン
谷本容疑者の勤務先の社長(右・共同通信)
「面接で『(前科は)ありません』と……」「“虚偽の履歴書”だった」谷本将志容疑者の勤務先社長の怒り「夏季休暇後に連絡が取れなくなっていた」【神戸・24歳女性刺殺事件】
NEWSポストセブン
(写真/共同通信)
《神戸マンション刺殺》逮捕の“金髪メッシュ男”の危なすぎる正体、大手損害保険会社員・片山恵さん(24)の親族は「見当がまったくつかない」
NEWSポストセブン
野生のヒグマの恐怖を対峙したハンターが語った(左の写真はサンプルです)
「奴らは6発撃っても死なない」「猟犬もビクビクと震え上がった」クレームを入れる人が知らない“北海道のヒグマの恐ろしさ”《対峙したハンターが語る熊恐怖体験》
NEWSポストセブン