芸能

風吹ジュンの「ナレーション」 混迷する朝ドラの救いとなるか

展開には賛否両論(番組公式HPより)

 通常のドラマは1クール1時間×10回前後。対して朝ドラは放送時間は15分と短いとはいえ概ね150回の長丁場だ。好評を博したとしてもそれを継続させるのは容易いことではない。ドラマウォッチを続ける作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が指摘する。

 * * *
「漫画家編はよかったのに。秋風先生が出なくなってガラリと雰囲気が変わってしまった」「半年という長期間、脚本を緻密に描き続けるのは酷な要求ということなのか」

 NHKの連続テレビ小説『半分、青い。』が「人生・怒涛編」に突入し、視聴者の間に微妙な空気が流れています。7月初旬までの「東京・胸騒ぎ編」が大きな注目と評判を集めたことはたしかです。有名漫画家で鈴愛の師匠・秋風羽織(豊川悦司)のセリフが一つ一つ心に響く、とSNSでも話題になりました。

 秋風の才能は溢れんばかり、しかし発するコメントは辛辣でストレート、生き方は勝手気ままでどこか不器用、その心根はピュアで優しいという「大人物」。豊川悦司さんが緻密に練り上げた人物造形と演技で、個性的な秋風羽織像が鮮やかに立ち現れたのでした。

 加えて、漫画家修業をする鈴愛の格闘ぶり、仲間たちとの友情、才能がないと悩む姿あたり、まさしく「青春ドラマ」のみずみずしさがあった。ところが……。秋風が姿を消すと本当に秋風が吹き始めた?

 鈴愛が漫画家を諦め100円ショップの店員となった「人生・怒涛編」からの評判は厳しいものが目立ちます。物語の内容も行き当たりばったり。たった6日で結婚を決めたかと思うと、家族を説得したり式や披露宴をしたりするシーンもろくになく、時系列も心理描写も飛躍し重要な部分を端折る。その一方で、「結婚式の白無垢姿でずっこける」「お茶を点てている叔母が着物姿で3回転ぶ」と妙にベタなコント風シーンが存分に盛り込まれ、無理に笑わせよう(笑えませんが)とする狙いが今一つわからない。いったい何を描こうとしているのか、どこへ向かうのか。

 とまどうのは「東京・胸騒ぎ編」とのあまりの違いです。本当に同じ脚本家が書いているのかと不思議に感じるほど。……なのですが、一つだけ変わらない点がある。今のところ「助け船」になっているように思えます。鈴愛の祖母である廉子・風吹ジュンの、独特のナレーションです。

 早々に亡くなってしまった廉子。天国から家族を見守っている設定でのナレーション。言葉の速度はゆったりと、たゆたうよう。声の張り方は引き気味。それが全体を俯瞰している人の落ち着き感を醸し出しています。

関連記事

トピックス

今季のナ・リーグ最優秀選手(MVP)に満票で選出され史上初の快挙を成し遂げた大谷翔平、妻の真美子さん(時事通信フォト)
《なぜ真美子さんにキスしないのか》大谷翔平、MVP受賞の瞬間に見せた動きに海外ファンが違和感を持つ理由【海外メディアが指摘】
NEWSポストセブン
国仲涼子が語る“46歳の現在地”とは
【朝ドラ『ちゅらさん』から24年】国仲涼子が語る“46歳の現在地”「しわだって、それは増えます」 肩肘張らない考え方ができる転機になった子育てと出会い
NEWSポストセブン
柄本時生と前妻・入来茉里(左/公式YouTubeチャンネルより、右/Instagramより)
《さとうほなみと再婚》前妻・入来茉里は離婚後に卵子凍結を公表…柄本時生の活躍の裏で抱えていた“複雑な感情” 久々のグラビア挑戦の背景
NEWSポストセブン
インフルエンサーの景井ひなが愛犬を巡り裁判トラブルを抱えていた(Instagramより)
《「愛犬・もち太くん」はどっちの子?》フォロワー1000万人TikToker 景井ひなが”元同居人“と“裁判トラブル”、法廷では「毎日モラハラを受けた」という主張も
NEWSポストセブン
兵庫県知事選挙が告示され、第一声を上げる政治団体「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏。2024年10月31日(時事通信フォト)
NHK党・立花孝志容疑者、14年前”無名”の取材者として会見に姿を見せていた「変わった人が来るらしい」と噂に マイクを持って語ったこと
NEWSポストセブン
千葉ロッテの新監督に就任したサブロー氏(時事通信フォト)
ロッテ新監督・サブロー氏を支える『1ヶ月1万円生活』で脚光浴びた元アイドル妻の“茶髪美白”の現在
NEWSポストセブン
ロサンゼルスから帰国したKing&Princeの永瀬廉
《寒いのに素足にサンダルで…》キンプリ・永瀬廉、“全身ブラック”姿で羽田空港に降り立ち周囲騒然【紅白出場へ】
NEWSポストセブン
騒動から約2ヶ月が経過
《「もう二度と行かねえ」投稿から2ヶ月》埼玉県の人気ラーメン店が“炎上”…店主が明かした投稿者A氏への“本音”と現在「客足は変わっていません」
NEWSポストセブン
自宅前には花が手向けられていた(本人のインスタグラムより)
「『子どもは旦那さんに任せましょう』と警察から言われたと…」車椅子インフルエンサー・鈴木沙月容疑者の知人が明かした「犯行前日のSOS」とは《親権めぐり0歳児刺殺》
NEWSポストセブン
10月31日、イベントに参加していた小栗旬
深夜の港区に“とんでもないヒゲの山田孝之”が…イベント打ち上げで小栗旬、三浦翔平らに囲まれた意外な「最年少女性」の存在《「赤西軍団」の一部が集結》
NEWSポストセブン
スシローで起きたある配信者の迷惑行為が問題視されている(HP/読者提供)
《全身タトゥー男がガリ直食い》迷惑配信でスシローに警察が出動 運営元は「警察にご相談したことも事実です」
NEWSポストセブン
「武蔵陵墓地」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月10日、JMPA)
《初の外国公式訪問を報告》愛子さまの参拝スタイルは美智子さまから“受け継がれた”エレガントなケープデザイン スタンドカラーでシャープな印象に
NEWSポストセブン