これを裏付けるように、ターンブル首相は昨年12月、中国共産党政権に近い中国人富豪らが政治献金を通じて、同国の政策策定に強い影響力を行使したと公然と批判。また、首相は中国の影響力の排除に向けて、「オーストラリア人民は立ち上がった」と中国語で発言しており、豪国内で中国の内政干渉への警戒が高まっている。
さらに、議会が今年6月末に可決した外国政府の内政干渉やスパイ活動を阻止するための法案では、外国政府や企業の代理人が議会でロビー活動を行う際、事前登録を義務付けているほか、スパイ活動が露見した場合、その代理人は10年以上の懲役刑を処すべきと定められている。
このような豪政府や豪議会の動きについて、豪国内では「中国が報復に乗り出す可能性も否定できない」との声も出ている。英ガーディアン紙は元政府高官の話として、「オーストラリアは鉄鉱石の輸出国だが、政治干渉への抗議を続けるならば、中国が輸入先をブラジルに切り替える可能性がある」などとして中国が経済力をテコにした報復措置をとるとの見方を明らかにした。
また、オーストラリア放送協会も「今回の措置は豪中両国間の自由貿易交渉の進展を妨げる可能性が高い」などと予測している。