ちなみに、ドラマで重要エピソードとして描かれる「バルクセール」とは、いわば「訳あり商品の詰め合わせ」のようなものでした。バブル崩壊後、政府は不良債権削減の大号令をかけ、銀行は不良債権の「半減」を約束させられた。必死に売却しようとする銀行の前に、買い手として現れた外資系ファンド。買う側は超格安値で不動産等を手に入れる好チャンスということでハゲタカが宝の山に群がり、驚異的なリターンをあげた……そんなバルクセールも、今ではあまり馴染みのない単語になりました。
そのように、バブル崩壊から今までの時間は「歴史」として語るほどには遠く離れてはいません。しかし、決して新しくもない。いわば中途半端な時間が生み出す落差を、このドラマはどう料理していくのか。「時代」と「現在」とをいかに取り込み描き出すのか。
実はこの2018年バージョンのドラマために原作者・真山仁氏は、原作に描かれていない鷲津の「現在」を新たに書き下ろしているそうです。リーマンショックやアベノミクス、そして今の世界経済の混沌がどのように登場するのか。今の日本に何らかの希望を見つけ「痛快に日本企業を甦らせる!」ことはどのように可能か。小説『ハゲタカ』のテーマは「言い訳をしながら生きることはもう止めよう」だそうです。言い訳しないで視聴者のとまどいを正面から受け止め、それをバネに大きく展開できるかどうか。ドラマの今後に注目したいと思います。