所属の湖南ボーイズでは、昨冬に甲子園球場で開催されたタイガースカップに出場するも、初戦で敗退した。樋上投手は、「高校でも甲子園に行きたい。タイガースカップでの借りが残っているんで」と話し、坂捕手と同じ高校に進学したいという野望を打ち明けた。
ブルペンでのふたりを熱心に見つめていたのが、大阪桐蔭の石田寿也コーチだった。勧誘の意志を訊ねると、「来てくれると嬉しいですね」と煙に巻かれてしまう。
関西トライアウトが終わり、帰路に就く湖南ボーイズバッテリーの後を追うように、迎えの車に向かっていたのが、前田健太(現ドジャース)を輩出した忠岡ボーイズ(大阪)の池田陵真捕手だった。169センチと小柄ながら、ティーバッティングで鋭い打球を打ち込んでいた。
「スイングスピードと広角に強い打球を飛ばせることがウリだと思っています」
やけに受け答えがしっかりした池田捕手は、所属チームと同様に侍ジャパンでも主将に選ばれた。吸い込まれるような大きな瞳の力が印象的だった。
「小学生の時にオリックスジュニアの選考会に行って受かって、中1の時にはカル・リプケン世界少年野球大会の選考会にも参加し、世界一になって帰って来た。そういう意味では、場慣れしていると思います」