◆硬式野球部に続き軟式野球部までも…
改めて、チームの置かれた状況を斉藤監督が明かしてくれた。
「たとえ公式戦に出られないとしても、部員を貸してもらって練習試合は組めるし、野球はできるわけやから、部は存続します。ただ(部員の少ない他校との)連合チームは考えておりません。今後、他の部活動と兼部する生徒がひとり、加わる予定もありますが、9人という試合出場にギリギリの状態では、何かあった時に他の学校さんにご迷惑をおかけしてしまう。それなら腹をくくって、秋は辞退しようと2人の2年生部員が判断しました」
私は2014年夏から2年半に渡ってPL学園の硬式野球部を取材し、その栄光の歴史と廃部にいたった経緯を昨年3月、『永遠のPL学園 六〇年目のゲームセット』(小学館刊)として発表した。
かつて絶大な人気を誇った名門校がなぜ廃部に追い込まれたのか。その第一の理由は、度重なる暴力事件(不祥事)の発覚であり、いっこうに改善のみられない部の悪しき体質に対し、学園の母体であるパーフェクトリバティー(PL)教団がいよいよ愛想を尽かしたというのが背景にある。だが、それ以上に教団の信者が激減し、2世・3世が通うPL学園の学園生徒数が1学年50人から60人程度と、学園自体が存続の危機にあることが、硬式野球部を廃部へと向かわせた。
廃部となった後もPL教団およびPL学園の取材を続けてきた私は、この夏、軟式野球部までもが廃部の危機に立たされている惨状を目の当たりにしたわけである。