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高校球界から「PL」が完全に消える日──現校長が独白

 住之江公園野球場の応援席に、PL学園の関係者は保護者をのぞいてわずかだったが、その中に私がずっと会いたかった人物がいた。現校長の正井啓介氏である。

 PL学園の硬式野球部は2013年春に暴力事件が発覚し、6か月もの対外試合禁止となった。その処分が解けた際、硬式野球部の監督に就任したのは野球経験のない当時の校長である正井一真氏だった。彼の実兄が正井啓介氏である。

 学園一筋に奉職してきた弟とは異なり、啓介氏は長く、PL教団の東京の布教拠点である東京中央教会の教会長を務めた人物であり、学園の校長を務めながら、現在も教団幹部のひとりでもある。

 教団幹部と接触できるような好機は滅多にない。自己紹介を終えた私は、秋季大会の辞退を決定した軟式野球部についての質問からぶつけた。

「軟式野球部の今後に関してはこれから話し合う予定です。生徒数が減少して、経営が苦しいのは、どこの学校も同じではないでしょうか。うちは、受験戦争に勝っていない。ほとんどの学生が大学に進学しますが、より良い大学(難関大)への進学率の低さが、生徒数(の少なさ)に跳ね返ってきていますね」

 PL学園は宗教法人が母体となる学校だ。硬式野球部なき今、生徒のほぼ100%が信者の2世・3世となる。信者が激減しているのだから、その数は減少していく一方だろう。

「そうですね……。信者のお子さんでも、進学のことを考え、PL学園ではなくお住まいの地元の高校に行く方が多いです」

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