「森会長が『時計の針を2時間進めればより涼しい時間帯にスタートできる』と導入を要請すると、安倍晋三首相は、『一つの解決策かもしれない』と応じて与党に検討を指示しました。推進派は、秋の臨時国会で関連法案を成立させ、2019年からの実施を目指している」(自民党関係者)
あまりに大袈裟である。選手の暑さ対策が目的なら、競技ごとに開始時間を変更すればよいだけではないのか──。
かつての“サマータイム体験者”からは、今回の唐突な導入論への反発が相次いでいる。導入2年目の1949年に中日ドラゴンズに入団した元プロ野球選手の杉下茂氏(92)は、アスリートの立場から「サマータイムは暑さ対策にならない」と話す。
「当時のプロ野球は、デーゲームしかありませんでした。試合開始は午後3時。とりわけ名古屋はやたら気温が高くて、とにかく暑かった記憶しかない。試合の時間が1時間や2時間ズレたところで、選手にとってあまり変わりはなかったですよ」
当然ながら、東京五輪ではマラソン以外に昼間、屋外で行なわれる競技も数多くある。杉下氏のようなアスリートの観点からの指摘が、政府・与党に届くことはあるのだろうか。
累計200万部超のベストセラー『思考の整理学』著者で、“知の巨人”とも呼ばれる御年94歳の英文学者・外山滋比古氏(お茶の水女子大学名誉教授)も憤りを隠さない。