国内

今上天皇の偉大さは沖縄問題への対応を見れば理解できる

『天皇論 平成29年』著者の小林よしのり氏

 平成最後となる終戦記念日の天皇の「お言葉」は、近年同じだった文言に、「戦後の長きにわたる平和な歳月に思いを致し」という一節が付け加えられた。そこにはどんな思いが込められていたのか、『戦争をしない国 明仁天皇メッセージ』著者の矢部宏治氏と『天皇論 平成29年』著者の小林よしのり氏が議論した。

小林:陛下のお言葉というのは、何を言っても政治的に受け取られかねないので、ものすごく慎重に言葉が選ばれている。だから、この一文から真意をはかるのは難しいのだけど、平成時代は戦争が起きなくてよかったという安堵感とでもいうのかな。この平和がずっと続いてほしいという思いが現われたのだと思います。

矢部:今上天皇の非戦に対する思いには非常に深い背景があります。まだ皇太子だった15歳の誕生日、1948年12月23日に7人のA級戦犯が処刑されました。誕生日が来るたびに天皇はそのことを思い起こされたはずです。自分の誕生日をさわやかな気持ちで迎えられたことは、おそらく一度もなかったのではないか。本当に重いものを背負わされてきた方だなと思います。

小林:天皇というのは“祈る人”で、国家の安寧と平和を願って祈るのが仕事。今上天皇に限らず、明治天皇も昭和天皇も戦争など望んでいなくて、平和を願い祈っていたんですよ。

 日米開戦を決定した1941年9月6日の御前会議で、昭和天皇は、〈よもの海みなはらからと思ふ世に など波風のたちさわぐらむ〉と詠んだ。これはもともとは明治天皇が日露戦争に反対して詠んだ歌で、「四方の国々はみな兄弟なのに、なぜ争わないといけないのか」という意味。戦争の惨禍に国民を巻き込むことなど、望むはずがない。でも、戦争になってしまった。

矢部:だからこそよりいっそう平和を祈るわけですね。

関連記事

トピックス

《悠仁さま成年式》雅子さまが魅せたオールホワイトコーデ、 夜はゴールドのセットアップ 愛子さまは可愛らしいペールピンクをチョイス
《悠仁さま成年式》雅子さまが魅せたオールホワイトコーデ、 夜はゴールドのセットアップ 愛子さまは可愛らしいペールピンクをチョイス
NEWSポストセブン
LUNA SEA・真矢
と元モー娘。・石黒彩(Instagramより)
《80歳になる金婚式までがんばってほしい》脳腫瘍公表のLUNA SEA・真矢へ愛妻・元モー娘。石黒彩の願い「妻へのプレゼントにウェディングドレスで銀婚式」
NEWSポストセブン
昨年10月の総裁選で石破首相と一騎打ちとなった高市早苗氏(時事通信フォト)
「高市早苗氏という“最後の切り札”を出すか、小泉進次郎氏で“延命”するか…」フィフィ氏が分析する総裁選の“ウラの争点”【石破茂首相が辞任表明】
NEWSポストセブン
万博で身につけた”天然うるし珠イヤリング“(2025年8月23日、撮影/JMPA)
《“佳子さま売れ”のなぜ?》2990円ニット、5500円イヤリング…プチプラで華やかに見せるファッションリーダーぶり
NEWSポストセブン
次の首相の後任はどうなるのか(時事通信フォト)
《自民党総裁有力候補に党内から不安》高市早苗氏は「右過ぎて参政党と連立なんてことも言い出しかねない」、小泉進次郎氏は「中身の薄さはいかんともしがたい」の評
NEWSポストセブン
阪神の中野拓夢(時事通信フォト)
《阪神優勝の立役者》選手会長・中野拓夢を献身的に支える“3歳年上のインスタグラマー妻”が貫く「徹底した配慮」
NEWSポストセブン
9年の濃厚な女優人生を駆け抜けた夏目雅子さん(撮影/田川清美)
《没後40年・夏目雅子さんを偲ぶ》永遠の「原石」として記憶に刻まれた女優 『瀬戸内少年野球団』での天真爛漫さは「技巧では決して表現できない境地」
週刊ポスト
朝比ライオさん
《マルチ2世家族の壮絶な実態》「母は姉の制服を切り刻み…」「包丁を手に『アンタを殺して私も死ぬ』と」京大合格も就職も母の“アップへの成果報告”に利用された
NEWSポストセブン
チームには多くの不安材料が
《大谷翔平のポストシーズンに不安材料》ドジャースで深刻な「セットアッパー&クローザー不足」、大谷をクローザーで起用するプランもあるか
週刊ポスト
ブリトニー・スピアーズ(時事通信フォト)
《ブリトニー・スピアーズの現在》“スケ感がスゴい”レオタード姿を公開…腰をくねらせ胸元をさすって踊る様子に「誰か助けてあげられないか?」とファンが心配 
NEWSポストセブン
政権の命運を握る存在に(時事通信フォト)
《岸田文雄・前首相の奸計》「加藤の乱」から学んだ倒閣運動 石破降ろしの汚れ役は旧安倍派や麻生派にやらせ、自らはキャスティングボートを握った
週刊ポスト
2013年に結婚した北島康介と音楽ユニット「girl next door」の千紗
《不倫報道で沈黙続ける北島康介》元ボーカル妻が過ごす「いつも通りの日常」SNSで垣間見えた“現在の夫婦関係”
NEWSポストセブン