築地市場の移転先となる豊洲市場は、東京臨海新交通臨海線(通称・ゆりかもめ)の市場前駅が最寄駅になっている。湾岸エリアはタワーマンションの建設ラッシュに沸いているが、広大な豊洲市場の周辺には豊洲PITや新豊洲変電所があるほかは特に何もない。そのため、2駅隣にある豊洲駅が注目を浴びることになった。

 それまでの豊洲駅は、町工場がひしめく下町然とした街だった。豊洲の街は、関東大震災で大量に発生した瓦礫で埋め立てられたことで生まれた。

 現在、豊洲住民の足を担っているのは東京メトロ・有楽町線で、この路線が開業したのは1974年。このときの有楽町線の開業区間は池袋駅―銀座一丁目駅間。まだ、豊洲は地下鉄の恩恵を受けていなかった。

 1988年、有楽町線の新富町駅―新木場駅間が開業。中間駅として豊洲駅が開設され、ようやく豊洲に地下鉄がお目見えした。しかし、地下鉄の豊洲駅ができても、まだ豊洲の街は発展する兆しを見せていなかった。

 豊洲駅が大きく変貌するターニングポイントは、2003年の石川島播磨重工業(現・IHI)の工場移転だった。工場跡地を三井不動産が取得。ここが再整備されて、2006年に複合商業施設「アーバンドック ららぽーと豊洲」が誕生する。

 当時、「ららぽーと」や「イオンモール」といった大型複合商業施設はあちこちにオープンしていたが、それらは郊外に出店するのが常識だった。その「ららぽーと」が、銀座から近い豊洲に進出したことは業界の常識を覆す一大事件だった。

「アーバンドック ららぽーと豊洲」は常識を覆す出店戦略だったが、予想外の大盛況となった。これを機に、豊洲駅の周辺にタワーマンションが立ち並ぶようになる。豊洲駅に新たな住処を求めたのは20代―30代の、いわゆるニューファミリー層だった。ニューファミリー層が増えたことで、豊洲駅界隈はさらに活気に満ちていく。

 今も「アーバンドック ららぽーと豊洲」は、週末に家族連れで大にぎわいとなる。隣接する豊洲公園では、毎週のようにイベントが開催されている。そうしたイベントには、近隣住民のほか江東区、はては都外から足を運ぶ人たちもいた。

 また、豊洲公園では週末に簡易テントを設営しながらピクニックを楽しむ家族連れも日常的な光景になった。

 豊洲駅の快進撃は、現在も継続中だ。有楽町線やゆりかもめは、豊洲新市場の開場に合わせて始発電車を早めるダイヤ改正を実施済。2020年の東京五輪によって、さらに豊洲駅界隈は劇的に変化するだろう。

関連記事

トピックス

俳優の水上恒司が真剣交際していることがわかった
水上恒司(26)『中学聖日記』から7年…マギー似美女と“庶民派スーパーデート” 取材に「はい、お付き合いしてます」とコメント
NEWSポストセブン
AIの技術で遭遇リスクを可視化する「クマ遭遇AI予測マップ」
AIを活用し遭遇リスクを可視化した「クマ遭遇AI予測マップ」から見えてくるもの 遭遇確率が高いのは「山と川に挟まれた住宅周辺」、“過疎化”も重要なキーワードに
週刊ポスト
韓国のガールズグループ「AFTERSCHOOL」の元メンバーで女優のNANA(Instagramより)
《ほっそりボディに浮き出た「腹筋」に再注目》韓国アイドル・NANA、自宅に侵入した強盗犯の男を“返り討ち”に…男が病院に搬送  
NEWSポストセブン
ラオスに到着された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月17日、撮影/横田紋子)
《初の外国公式訪問》愛子さま、母・雅子さまの“定番”デザインでラオスに到着 ペールブルーのセットアップに白の縁取りでメリハリのある上品な装い
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(AFLO/時事通信フォト)
「“穴持たず”を見つけたら、ためらわずに撃て」猟師の間で言われている「冬眠しない熊」との対峙方法《戦前の日本で発生した恐怖のヒグマ事件》
NEWSポストセブン
ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン
靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン
俳優の仲代達矢さん
【追悼】仲代達矢さんが明かしていた“最大のライバル”の存在 「人の10倍努力」して演劇に人生を捧げた名優の肉声
週刊ポスト
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト