お墓などの権利は、お子さんに指定するなど、分けて承継者を決めることも可能です。とはいえ、あなたの死亡後、遺体の火葬の手続きをするのは通常遺族ですから、散骨には遺族から散骨引受人に対する遺骨の交付が不可欠です。無用なトラブルにならないよう十分に説明しておくことが必要です。
祭祀の承継まではできないという散骨引受人に対しては、散骨を委任する準委任契約を締結することも考えられます。その場合、あなたの死後、相続人は委任者の立場を相続します。委任者が死亡すると契約は終了するのが原則ですが、死後の作業を依頼したのですから、死亡で終了しては背理です。
散骨引受人は、死亡後に実施すべき作業の委任を受けた受任者として遺骨の引き渡しを求めることができると思います。ですが、子供の心情として精神的負担が大きすぎると判断された場合には、解除が認められる可能性もあります。ともあれ、明確なあなたの意思を文書にして残しておくべきです。
【弁護士プロフィール】竹下正己(たけした・まさみ):1946年、大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年、弁護士登録。
※週刊ポスト2018年9月21・28日号