被災地におけるトレーラーハウスの供給はさまざまな形で行なわれてきた。2011年の東日本大震災では津波で流された商店街の復興に店舗として利用された。また2016年の熊本地震では高齢者や体の不自由な人たちのための一時的な福祉避難所としても活躍した。
そのつど建築・解体する従来のプレハブ型に比べ、再利用が可能なトレーラーハウスは全体のコストも8割ほど低く抑えることができる。これまでの実績と災害時利用の優位性が評価され、このたび仮設住宅としての運用が始まったのだ。しかしまだ課題は多い。前出・原田氏が解説する。
「先進国アメリカではFEMA(合衆国連邦緊急事態管理庁)がトレーラーハウスの備蓄を進め、ハリケーンなどの被害で住む場所を失った人のために、数万台を即時投入できるシステムが完成しています。しかし今の日本では全国合わせて今回の51棟が限度。今後はやはり量の確保が課題です」
今後、自然災害が絶えない日本において、被災地で日常生活を取り戻す新たな支援の形は“当たり前の風景”になりそうだ。
◆撮影・文/末並俊司
※週刊ポスト2018年9月21・28日号