スポーツ

山本KID徳郁さん M・タイソンに憧れ続けた格闘家人生

これからも期待されていた山本KID徳郁さん(AFP=時事)

 がん闘病を公表していた格闘家の山本KID徳郁さん(享年41)が亡くなった。「こんなときまで並外れたはやさでいかなくてもいいのに」と訃報について話すのは、彼がKIDという名前を名乗る前、学生時代の活躍を知るレスリング関係者だ。

「大学卒業後はブームになっていた総合格闘技へ彼は進みましたが、あのままレスリングを続けていたら、アテネオリンピック(2004年)でメダルが取れたかもしれない力は持っていました。KIDだけでなく、姉の美憂も妹の聖子も、美憂の息子のアーセンも、自分でやると決めたときの集中力が人並み外れています。そのタイミングがうまく合うと、普通では考えられないほど強くなっていました。

 逆に、興味をなくすと同じ選手とは思えないミスを繰り返す。大学を卒業しても、レスリングで世界を目指すことに興味を持ってくれていたら、金メダルも夢じゃなかったと思いますよ」

 子供の頃から注目の選手で、高校1年生のときにアメリカ留学し現地校を卒業、その後、山梨学院大学へ進学した。学生チャンピオンになり、大学4年で全日本2位にもなった。そのまま五輪を目指すかと思われていたが、大学卒業後、姉・美憂の夫だったエンセン井上と交流するうち総合格闘技に夢中になり、2001年にプロ修斗で格闘技デビューした。

 その当時、埼玉県・大宮市(当時)を取材で訪れたスポーツライターは、KIDさんが「目をキラキラさせながら、楽しくて仕方がないように見えた」と思い出を語る。

「ほかの選手への取材が目的だったのでKIDとは雑談のように話しただけですが、無邪気な笑顔で、新しいことを覚えるのが楽しい様子が全身からあふれていたのをよく覚えています。あの山本美憂の弟で、けっこうやんちゃな子だという噂を聞いていましたが、若者言葉こそ使うけれど、ご両親に愛されて育てられたお坊ちゃんな感じが話すと伝わってきました。

 デビューしたら人気が出るんだろうな、という魅力がすでにありました。総合格闘技ではないけれど、ボクシングのマイク・タイソンのファイトスタイルが好きで『カッケー!』と何度も繰り返していたあの口調が忘れられないです」

 その後、2004年の大晦日に瞬間最高視聴率31.6%をたたき出すなど、お茶の間でもその名前と顔を知られる格闘家としてスター街道をばく進した。そして、レスリング出身にもかかわらず、憧れのタイソンのように鋭い打撃で快勝する格闘家のイメージが浸透した。その勝ち方は、彼が「カッケー!」と憧れた、短時間で相手をKOし続けたタイソンを追いかけているようだった。

関連記事

トピックス

競泳コメンテーターとして活躍する岩崎恭子
《五輪の競泳中継から消えた元金メダリスト》岩崎恭子“金髪カツラ”不倫報道でNHKでの仕事が激減も見えてきた「復活の兆し」
NEWSポストセブン
米・フロリダ州で元看護師の女による血の繋がっていない息子に対する性的虐待事件が起きた(Facebookより)
「15歳の連れ子」を誘惑して性交した米国の元看護師の女の犯行 「ホラー映画を見ながら大麻成分を吸引して…」夫が帰宅時に見た最悪の光景とは《フルメイク&黒タートルで出廷》
NEWSポストセブン
メーカーではなく地域の販売会社幹部からの指令だった(写真提供/イメージマート)
《上司命令でSNSへ動画投稿》部下たちから上がる”悲鳴” 住宅販売会社では社長の意向で「ビキニで物件紹介」させられた女性社員も
NEWSポストセブン
自宅への家宅捜索が報じられた米倉(時事通信)
米倉涼子“ガサ入れ報道”の背景に「麻薬取締部の長く続く捜査」 社会部記者は「米倉さんはマトリからの調べに誠実に対応している」
香川県を訪問された紀子さまと佳子さま(2025年10月2日、撮影/JMPA)
佳子さまが着用した「涼しげな夏振袖」に込められた「母娘、姉妹の絆」 紀子さま、眞子さんのお印が描かれていた
NEWSポストセブン
米倉涼子(時事通信フォト)
《マトリが捜査》米倉涼子に“違法薬物ガサ入れ”報道 かつて体調不良時にはSNSに「ごめんなさい、ごめんなさい、本当にごめんなさい」…米倉の身に起きていた“異変”
NEWSポストセブン
きしたかの・高野正成(高野のXより)
《オファー続々》『水ダウ』“ほぼレギュラー“きしたかの・高野 「怒っているけど、実はいい人」で突出した業界人気を獲得 
NEWSポストセブン
迎賓施設「松下真々庵」を訪問された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月9日、撮影/JMPA)
《京都ご訪問で注目》佳子さま、身につけた“西陣織バレッタ”は売り切れに クラシカルな赤いワンピースで魅せた“和洋折衷スタイル”
NEWSポストセブン
米倉涼子(時事通信フォト)
《米倉涼子に“麻薬取締部ガサ入れ”報道》半同棲していた恋人・アルゼンチン人ダンサーは海外に…“諸事情により帰国が延期” 米倉の仕事キャンセル事情の背景を知りうるキーマン
NEWSポストセブン
イギリス人女性2人のスーツケースから合計35kg以上の大麻が見つかり逮捕された(バニスター被告のInstagramより)
《金髪美女コンビがNYからイギリスに大麻35kg密輸》有罪判決後も会員制サイトで過激コンテンツを販売し大炎上、被告らは「私たちの友情は揺るがないわ」
NEWSポストセブン
第79回国民スポーツ大会の閉会式に出席された秋篠宮家の次女・佳子さま(時事通信フォト)
「なんでこれにしたの?」秋篠宮家・佳子さまの“クッキリ服”にネット上で“心配する声”が強まる【国スポで滋賀県ご訪問】
NEWSポストセブン
"殺人グマ”による惨劇が起こってしまった(時事通信フォト)
「頭皮が食われ、頭蓋骨が露出した状態」「遺体のそばで『ウウー』と唸り声」殺人グマが起こした”バラバラ遺体“の惨劇、行政は「”特異な個体”の可能性も視野」《岩手県北上市》
NEWSポストセブン