サントリーHDの佐治信忠会長が、三田会を通じて知り合った新浪剛史氏(当時・ローソン社長)をサントリーの社長にヘッドハントした逸話は有名だが、東大OBで同様のエピソードは聞かない。
◆早稲田はどっちの味方に?
東大経済学部出身の経済アナリスト・森永卓郎氏に水を向けると、「昔から慶應の学生にはムカついていたんです」と口火を切った。
「弟が在学していた慶應のキャンパスにもよく足を運んだのですが、東大との違いは歴然でした。身に着けているのは私たちがダイエーで買うような服ではなく、ファッションに疎い私でも分かる上品なもの。同じ経済学部に入るのでも向こうは血のにじむような努力をした匂いがしないし、金持ちの子弟だから、就職も有利に見えた。酒を飲む盛り場も私たちは本郷に近い上野ですが、ヤツらは学生のくせに銀座でしたよ」
ナンバーワン大学に入った自負で慰められないものなのか。そう尋ねると、「サラブレッドと競走させられる農耕馬みたいな気分でね(笑い)。そんなにストレートに“自分が上”とはいきませんでした。僻んでいた学生は私だけではなかったはずです」という。
一方、慶應にとっても東大は“負けた気がしない相手”と映っているようだ。慶應大学経済学部出身の経済評論家・門倉貴史氏は、サラリーマン経験を通じて交わった東大出身者のイメージを「頭が固く融通が利かない」と描く。