東大vs慶應の応酬は、特に卒業生や関係者の間で話題をさらった。
「安西元塾長の批判が荒っぽかったのは、慶應出身者の中にある“アンチ東大”の感情が手伝ったかも」
慶應OBの中には、そう推測する人もいた。
確かに偏差値でいえば、「不動のナンバーワン」は東大だ。英教育専門誌『タイムズ・ハイヤー・エデュケーション』が評価する世界大学ランキングでも日本で最上位は東大(46位)で、慶應や早稲田大学などの私学は800位圏内に入るのがやっとだ。
一方、東大にとって慶應が気になる存在であることも確かだ。『大学ランキング』(朝日新聞出版、2018年度)によると、国家公務員(総合職)の出身大学トップは東大(329人)で、慶應は4位(82人)に甘んじているが、民間に目を転じるとその景色は全く違ってくる。
東京商工リサーチによると、東証一部上場企業の社長では、慶應出身の180人がトップで、東大の152人を大きく引き離しており、立場は逆転している。
「かつて官僚養成機関として人材を大量に送り込み、霞が関から日本を動かしてきたのは東大でした。ですが、官が民を牽引する“護送船団方式”が崩れ、相対的に財界の存在感は増した。中でも、慶應OB会である“三田会”の人脈を通じて様々な分野で影響力は高まっている」(経済部記者)