やはり家族には、症状ではなく、認知症になっても変わらない本人らしい部分としっかり向き合ってほしい。そのためには、家族が冷静に親のできないことを見極め、先回りしてできるだけ失敗させない。そして趣味でも家事でも、まだできる好きなこと、本人にとって価値のあることを探して、支援してほしい。
もしどうしてもそれが難しく、口を出してしまうようなら介護のプロに入ってもらい、よい関係が保てる距離を置くのも賢明な方法です。そんな生活が本人には安心になり、BPSDを未然に防ぎ、結果的に認知症の進行を緩やかにすることになると思います」
認知症は老化の1つだという考え方もある。ほかの病気のように克服しようとするのではなく“認知症によって不幸になる”ことを避けることが大切だと繁田さんは言う。
「私の親も認知症でしたから、家族の切ない思いはよくわかります。その思いを本人にぶつけ続けるのか、認知症をよく知って、たとえば親がもの忘れで失敗したとき“私が覚えておくつもりだったのにごめんね!”と笑い合える家族になるのか。道は大きく分かれます。認知症かどうかより、親も子も幸せな人生かどうかを考えたいですね」
※女性セブン2018年10月25日号