特別寄与料は法定相続人に対して請求することになる。仮に請求額を100万円として、法定相続人が長男である夫と次男の2人だとすると、特別の寄与が認められれば長男と次男の相続額が50万円ずつ減額されて、“長男の嫁”に100万円が支払われる。
しかし、この「特別寄与」が認められるのは、実はそう簡単ではない。相続コーディネーターで夢相続代表・曽根恵子氏はいう。
「正直、ハードルはかなり高い。“無償またはそれに近い”“少なくとも1年以上”“ほかの仕事をせず介護に専念していた”といった場合が寄与の条件になり、相当な労力を傾けたケースに限られます。
病院の送迎とか、食事や身の回りの世話をすることは、親族としてある程度は行なうものとして、他の相続人が寄与料の支払いに同意しないためです。入浴の介助だとか、ヘルパーや介護福祉士の代わりに日常生活をサポートした部分についてしか認められないのが実情です」
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そうは言っても、今まで相続手続きでは“部外者”として扱われてきた立場の人に、寄与料を請求する権利が与えられたのは一歩前進と言えるだろう。では、実際に「特別の寄与」を請求するには、何が必要か。