ドラマや映画関係者の間で、“今もっとも起用したい女優”として真っ先に名前があがるのが、黒木華(28才)だ。今年10月13日に公開した映画『日日是好日』(にちにちこれこうじつ)に主演したばかりの彼女だが、来年春までドラマや映画の出演予定作が引きも切らない。現在出演中のドラマ『獣になれない私たち』(日本テレビ系)も、初回の平均視聴率が11.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)、2回目が8.5%を記録し、話題を集めている。
このドラマの初回、2回目とも黒木の出演時間は少なかったが、テレビウォッチャーの吉田潮さんは、「さすがの存在感だった」とその“女優力”に感心する。
「初回でジャージにめがね姿でパソコンゲームをしている黒木さんはインパクトがあり、“今後のキーパーソンになるぞ”と短時間ながらも印象つけていました。2話でも、別れてから4年も元彼の家に引きこもる黒木は、自分がこうなったのは元彼のせいだと罪を押しつけますが、ただ“責任転嫁する図々しい女”ではなく、その背景の広がりを感じさせたのは見事。
黒木さんは2年前に放送された『重版出来!』では元気な新米編集者を好演。放送中の大河ドラマ『西郷どん』(NHK)では西郷の3人目の妻・糸を演じるなど、最近は優しくけなげな役が多かった。“けもなれ”は朝ドラ『純と愛』(NHK)以来の意地悪な役になりそうで、これからの展開が楽しみです」
黒木は、その演技力が大女優からも絶賛されている。『日日是好日』で共演した樹木希林から、「まだ28歳ですが、しなやかでとても強い。これから日本を背負って立つ役者だと思います」とメッセージを送られているのだ。
「『日日是好日』は樹木さんの遺作となった作品で、全身がんの苦しい中での撮影だったと報じられています。そんななかでも、黒木さんに、最上級とも言える褒め言葉を伝えているのは、女優として“映画界を引っ張っていく存在になってほしい”という期待の表れだと思います」(吉田さん・以下「」内同)
樹木さんも認めた黒木の演技の幅広さは、本人も「昭和の女優さんより薄い」と語る「薄めの昭和顔」あってのものだと吉田さんは分析する。
「例えば、北川景子さんや菜々緒さんのように、目鼻立ちがはっきりした美人だと、時代劇や古い時代を舞台にした作品ではどうしても浮いてしまう。でも黒木さんの容姿だと、メイクや髪形、衣装でガラリと印象が変わり、幅広い役に対応できるんです。1974年放送のドラマ『寺内貫太郎一家』(TBS系)で30代前半の樹木希林さんが70代の役をやったように、28才の黒木さんも老け役ができると思いますし、逆に女子高生でも違和感がないでしょう。それは昭和っぽい顔に、“薄め”という要素が加わっていることが大きいと思います。どんな色にも染まることができる余白の多い女優さんと言えます」
黒木が何かと比較されるのが蒼井優だ。色白で薄めの顔立ち、のんびりした雰囲気というルックスや、複数の賞を受賞した演技派女優で舞台出身という共通点もあるが、吉田さんは、「似て非なる2人」と見ている。