LGBTだからといって、「日陰者でいるべきだ」と絶叫する保守ムラの老人と、その追従者(―驚くことに若者も多い)を見るたびに私はこの国がとてつもなく惨めで、陰惨で、鬱々とする後進的な側面を持つ事実と、一方で世界に冠たる最先端テクノロジーを保有する現実という「二重構造」の矛盾を痛感してしかたがない。

 二丁目は新宿の東側に位置するが、正直言って私は二丁目があまり好きではないことを再確認した。冒頭に書いたように、もはや観光地となった二丁目には、空振りする「熱狂」の残滓が溢れている。

 パンフレットに掲載されている、という情報のみを頼って続々とやってくる外国人観光客。そして「二丁目で飲むことが、なにかしら奇特でいて奇抜でいて斜めに洒落た文化的行為」とはな自覚している、若干意識が高い目のヘテロセクシャルの群羊と、そこから発せられる無思慮な雄たけび。

 こういう喧騒を、私は好まない。ゲイバーであろうがそれ以外であろうが、バーという場所は静謐を旨とせねばならぬ、と私は勝手に思っている。友達が居らず、悪い意味の熱狂を嫌う私は、観光地へと進化した二丁目とは根源的に肌が合わないのかもしれない。

 それとも、まだまだ二丁目という街の深淵を知らないだけなのかもしれない。いずれにせよ、小川の「作文」は間違っている。

 私はカミングアウトを推奨する気もないし、LGBTの権利擁護を声高に言うことが社会正義の指標だとも思わない。今次の取材兼飲みで、あるゲイバーのママは小川の写真を見るや「適度に枯れて居て良い感じだ」と返答した。小川は所謂「枯れ専」にモテるのではないか。該氏の許諾さえあればぜひ、私と一緒に二丁目を探訪したいと切望する。お互いに下らなひ熱狂は嫌いでせう?

【PROFILE】ふるや・つねひら/1982年北海道生まれ。日本ペンクラブ正会員。立命館大学文学部卒業。主な著書に『左翼も右翼もウソばかり』『草食系のための対米自立論』。最新刊は『女政治家の通信簿』。

※SAPIO2018年11・12月号

関連キーワード

関連記事

トピックス

70歳の誕生日を迎えた明石家さんま
《一時は「声が出てない」「聞き取れない」》明石家さんま、70歳の誕生日に3時間特番が放送 “限界説”はどこへ?今なお求められる背景
NEWSポストセブン
イスラエルとイランの紛争には最新兵器も(写真=AP/AFLO)
イスラエルとの紛争で注目されるイランのドローン技術 これまでの軍事の常識が通用しない“ゲームチェンジャー”と言われる航空機タイプの無人機も
週刊ポスト
一家の大黒柱として弟2人を支えてきた横山裕
「3人そろって隠れ家寿司屋に…」SUPER EIGHT・横山裕、取材班が目撃した“兄弟愛” と“一家の大黒柱”エピソード「弟の大学費用も全部出した」
NEWSポストセブン
ノーヘルで自転車を立ち漕ぎする悠仁さま
《立ち漕ぎで疾走》キャンパスで悠仁さまが“ノーヘル自転車運転” 目撃者は「すぐ後ろからSPたちが自転車で追いかける姿が新鮮でした」
週刊ポスト
無期限の活動休止を発表した国分太一
「こんなロケ弁なんて食べられない」『男子ごはん』出演の国分太一、現場スタッフに伝えた“プロ意識”…若手はヒソヒソ声で「今日の太一さんの機嫌はどう?」
NEWSポストセブン
9月に成年式を控える悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
《模擬店では「ベビー核テラ」を販売》「悠仁さまを話題作りの道具にしてはいけない!」筑波大の学園祭で巻き起こった“議論”と“ご学友たちの思いやり”
NEWSポストセブン
1993年、第19代クラリオンガールを務めた立河宜子さん
《芸能界を離れて24年ぶりのインタビュー》人気番組『ワンダフル』MCの元タレント立河宜子が明かした現在の仕事、離婚を経て「1日を楽しんで生きていこう」4度の手術を乗り越えた“人生の分岐点”
NEWSポストセブン
元KAT-TUNの亀梨和也との関係でも注目される田中みな実
《亀梨和也との交際の行方は…》田中みな実(38)が美脚パンツスタイルで“高級スーパー爆買い”の昼下がり 「紙袋3袋の食材」は誰と?
NEWSポストセブン
5月6日、ニューメキシコ州で麻薬取締局と地区連邦検事局が数百万錠のフェンタニル錠剤と400万ドルを押収したとボンディ司法長官(右)が発表した(EPA=時事)
《衝撃報道》合成麻薬「フェンタニル」が名古屋を拠点にアメリカに密輸か 日本でも薬物汚染広がる可能性、中毒者の目撃情報も飛び交う
NEWSポストセブン
カトパンこと加藤綾子アナ
《慶應卒イケメン2代目の会社で“陳列を強制”か》加藤綾子アナ『ロピア』社長夫人として2年半ぶりテレビ復帰明けで“思わぬ逆風”
NEWSポストセブン
2人の間にはあるトラブルが起きていた
《2人で滑れて幸せだった》SNS更新続ける浅田真央と2週間沈黙を貫いた村上佳菜子…“断絶”報道も「姉であり親友であり尊敬する人」への想い
NEWSポストセブン
ピンク色のシンプルなTシャツに黒のパンツ、足元はスニーカーというラフな格好
高岡早紀(52)夜の港区で見せた圧巻のすっぴん美肌 衰え知らずの美貌を支える「2時間の鬼トレーニング」とは
NEWSポストセブン