芸能

西野亮廣 ネットと地上波で別人の顔を見せる理由は?

西野亮廣はネットと地上波で別人(イラスト/ヨシムラヒロム)

 お笑いコンビ・キングコングの西野亮廣は最近、ネットではビジネスパーソンとしての一面が強調されつつある。その西野亮廣のネット番組『株式会社ニシノコンサル』(AbemaTV)について、イラストレーターでコラムニストのヨシムラヒロム氏が、2000年代前半に放送されていたリアリティ番組『マネーの虎』や、地上波テレビ番組で見せる西野自身の姿と比べながら考えた。

 * * *
 先日、編集者Tとルノアールでお茶をした。死ぬほど甘い黒蜜ミルクを飲みつつ、取材原稿の話をする。それが一区切りすると、Tは「キングコングの西野亮廣ってどう思いますか?」と僕に尋ねてきた。良い感情は持っていないので言葉を濁していると、続けて「あの人、すごいっすよ!」と熱っぽく語り始める。

 現在、西野はビジネスの世界で一目置かれた存在だという。クラウドファンディングで個人としては国内歴代最高となる総額1億円を調達。月額1000円のオンラインサロンの会員数も1万人以上いるとか。Tももちろんオンラインサロン会員。押し付けられる熱量、場所柄とネットワークビジネスに勧誘されている人みたいだな、と自嘲。

 しかし、Tが最後に話した「苦手なのは分かる、けど新しい試みを確かにやっている」という西野評を聞き、少し興味が湧く。

 ここで西野がなぜ苦手なのか、と己と対峙してみた。答えはすぐに出る、要するに僕は怖いのだ。自分の知らない新しい価値観を持っている西野の思想に畏怖を感じている。だから、“苦手”と防衛線を張って遠ざける。これは僕だけなく西野を嫌う人の多くの人の本音だと思う。

 西野の話を3時間以上した別れ際、「AbemaTVの『株式会社ニシノコンサル』だけでもチェックしてください」とT。そこまで言うのなら!と見てみることにした。

『株式会社ニシノコンサル』とは、西野が司会を務めるコンサルティング・リアリティショーである。仕事の悩みを抱えた相談者に西野とSHOWROOM社長の前田裕二が答えていく。

 硬軟織り交ぜた相談者が来訪してくることが番組の特徴。“アイドルがライブ集客を増やしたい”といった芸能系、“黒糖焼酎の売り上げを伸ばしたい”といった商品設計まで、2人が対応する相談の幅は広い。一言で表せば、現金のかわりにアイデアを提供する『マネーの虎』。

 番組において西野以上の存在感を持つのが前田の存在だ。ホリエモンを筆頭にIT社長といえばギラつた人という思い込みがあった。なおかつ、石原さとみとの交際で話題を振りまく話題の人。イケイケな語り口を想像していたが、その予想は大きく裏切られた。

 前田のビジュアルは、川越達也シェフに似た色白の美男子である。また、語り口も川越シェフのように柔和。そういった意味ではギラつく西野とコンビバランスは良い。なおかつ、相談への対応も真逆で面白い。西野は言葉数多く熱心にアドバイス。たいして前田は静かに相談者の話を聞く。業界一のメモ魔で有名らしく、ノートになにかを書いていることも多い。そして、自身のなかで意見がまとまると冷静に打開策を示す。

 2人のアドバイスは全て具体的だ。自らが実行してきたアイデアをアレンジして相談者に提供する。#1に登場した集客に悩みを抱えるアイドルには、「ツイッターできたファンの投稿、全てに返信するアイドルになれば良い!」とアドバイス。

「僕ね、5年前にニューヨークで個展をしたんですよ。その際にクラウドファンディングしたんです」と西野。資金調達期間は2週間、そのなかで「キングコング西野」とツイッター検索をかけ、自分のことをつぶやいているアカウント全てに「クラウドファンディングのパトロンになってくれないか」とツイッター上で声をかけたという。その数はなんと800人。

 資金調達に成功し、個展の開催が決定したのち「ニューヨーク」にいる日本人をピックアップ。これまた全ての人に「個展に来てくれないか」と声をかけ集客。その数もなんと800人。つまり、西野はニューヨークでの個展を成功させるために約1ヶ月で1600人と対話したことになる。「地球上で最も1対1でコミュニケーションする人間になってやろうと思った」と語る。

関連記事

トピックス

まだ重要な問題が残されている(中居正広氏/時事通信フォト)
中居正広氏と被害女性Aさんの“事案後のメール”に「フジ幹部B氏」が繰り返し登場する動かぬ証拠 「業務の延長線上」だったのか、残された最後の問題
週刊ポスト
生徒のスマホ使用を注意しても……(写真提供/イメージマート)
《教員の性犯罪事件続発》過去に教員による盗撮事件あった高校で「教員への態度が明らかに変わった」 スマホ使用の注意に生徒から「先生、盗撮しないで」
NEWSポストセブン
(写真/イメージマート)
《ロマンス詐欺だけじゃない》減らない“セレブ詐欺”、ターゲットは独り身の年配男性 セレブ女性と会って“いい思い”をして5万円もらえるが…性的欲求を利用した驚くべき手口 
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《ブログが主な収入源…》女優・遠野なぎこ、レギュラー番組“全滅”で悩んでいた「金銭苦」、1週間前に公表した「診断結果」「薬の処方」
NEWSポストセブン
京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”とは(左/YouTubeより、右/時事通信フォト)
《芸舞妓を自宅前までつきまとって動画を回して…》京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”「防犯ブザーを携帯する人も」複数の被害報告
NEWSポストセブン
由莉は愛子さまの自然体の笑顔を引き出していた(2021年11月、東京・千代田区/宮内庁提供)
愛子さま、愛犬「由莉」との別れ 7才から連れ添った“妹のような存在は登校困難時の良きサポート役、セラピー犬として小児病棟でも活動
女性セブン
インフルエンサーのアニー・ナイト(Instagramより)
海外の20代女性インフルエンサー「6時間で583人の男性と関係を持つ」企画で8600万円ゲット…ついに夢のマイホームを購入
NEWSポストセブン
ホストクラブや風俗店、飲食店のネオン看板がひしめく新宿歌舞伎町(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」のもとにやって来た相談者は「女風」のセラピスト》3か月でホストを諦めた男性に声を掛けた「紫色の靴を履いた男」
NEWSポストセブン
『帰れマンデー presents 全国大衆食堂グランプリ 豪華2時間SP』が月曜ではなく日曜に放送される(番組公式HPより)
番組表に異変?『帰れマンデー』『どうなの会』『バス旅』…曜日をまたいで“越境放送”が相次ぐ背景 
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
2014年に結婚した2人(左・時事通信フォト)
《仲間由紀恵「妊活中の不倫報道」乗り越えた8年》双子の母となった妻の手料理に夫・田中哲司は“幸せ太り”、「子どもたちがうるさくてすみません」の家族旅行
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
《大学時代は自由奔放》学歴詐称疑惑の田久保市長、地元住民が語る素顔「裏表がなくて、ひょうきんな方」「お母さんは『自由気ままな放蕩娘』と…」
NEWSポストセブン