芸能

『戦闘車』はシーズン2になっていい感じにぶっ壊れていた

浜田雅功と矢部浩之が「戦闘車2」でガチバトル(イラスト/ヨシムラヒロム)

『戦闘車』(Amazonプライム・ビデオ)シーズン2のテレビCMが盛んに流れ始めたとき、ネット上では冷ややかな反応が少なくなかった。というのも、昨年配信されたシーズン1で、多くの視聴者の高まっていた期待を裏切ったからだ。その裏切られた気持ちを味わった一人でもある、イラストレーターでコラムニストのヨシムラヒロム氏が、良い意味で期待を裏切られた『戦闘車』シーズン2とシーズン1の違いについて考えた。

 * * *
 昨年10月、Amazonプライム・ビデオで『戦闘車』が配信された。メインはダウンタウン・浜田雅功と千原兄弟・千原ジュニア。車好きで知られる芸能人たちが自らハンドルを握り、各々の“戦闘車”でカーバトル。芸人、レーサー、ミュージシャン、アイドル、俳優からなる戦闘員が浜田軍、ジュニア軍に分かれ、車のどつきあいが繰り広げられた。

『戦闘車』は、事前CMがとにかく魅力的だったと記憶している。車と車が接触し、横転、そして爆発。民放のバラエティでは見られない迫力ある絵面。僕は番組に大きな期待を抱き、配信日を指折り数えた。当日、「待ってました!」とワクワク感満載で鑑賞。そして、数分も経たないうちに胸の高まりはシャットダウン。

 なんだかつまらない。当初はそんなぼんやりとした感想だったが、後日ふと気づく。『戦闘車』を並以下の番組にさせた2つの雑味に……。

【1】意味が分からない戦国時代のような舞台設定。幕間、武将姿の2人による下記の寸劇が挿入される。

千原「この城は何人たりとも崩せまい!」
浜田「その城、落としに行くぞ!」

【2】車の情報がうるさい。

「ジュニア軍が使用するのはメルセデス・ベンツ S320。Sクラスはベンツのフラッシグモデルで誰もが憧れる最高のラグジュアリーカー」

 試合のたびに何度も聞かされる車の情報。「そんな知りたかったら『ベストカー』読むわ!」と叫びたくなった。

 高い制作費と“戦闘する車”という面白いコンセプト。優れた素材をそのまま画面に提示してくれたら満足する。コチラは車と車によるどつきあいがただ見たいだけ。しかし、加えられた雑味によって番組はスリップ。テンポの悪い編集も相まって、イマイチ冴えない自動車バトルバラエティに仕上がっていた。

 2017年に見たなかで、『戦闘車』は最も期待を裏切られた作品となった。

 あれから1年……、迷作『戦闘車』のことなどすっかり忘れていた10月。Amazonプライム・ビデオを見ていると『戦闘車2』のCMが流れてきて驚く。申し訳ないが「シーズン2はナシ」と勝手に決めつけていた。車が接触し、横転、そして爆発するCM。期待感を煽るところは相変わらず。

 前作は週1ペースで配信されたが、今作は11月9日に一挙配信とのこと。「学ばないなぁ」と自嘲しつつ、僕は11月9日0時を迎えた瞬間、第1話の再生ボタンを押していた。

 そこから1~5話、さらにメイキングまでも視聴。飽きることはない、イラつくポイントも皆無、もう夢中で見てしまった、3時間半連続で。『戦闘車2』は『戦闘車1』と比べて、格段にブラッシュアップされていた。

関連記事

トピックス

今季から選手活動を休止することを発表したカーリング女子の本橋麻里(Xより)
《日本が変わってきてますね》ロコ・ソラーレ本橋麻里氏がSNSで参院選投票を促す理由 講演する機会が増えて…支持政党を「推し」と呼ぶ若者にも見解
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《女性を家に連れ込むのが得意》座間9人殺害・白石死刑囚が明かしていた「金を奪って強引な性行為をしてから殺害」のスリル…あまりにも身勝手な主張【死刑執行】
NEWSポストセブン
失言後に記者会見を開いた自民党の鶴保庸介氏(時事通信フォト)
「運のいいことに…」「卒業証書チラ見せ」…失言や騒動で謝罪した政治家たちの実例に学ぶ“やっちゃいけない謝り方”
NEWSポストセブン
球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン