まず、変わっていたのが戦いの構図。1作目で負けたジュニア軍は軍門に降り、浜田軍の一員に。そこに現れたニューチャレンジャーがナインティナイン・矢部浩之。今作は浜田軍VS矢部軍の合戦、ここが良かった。

 ジュニアのダウンタウン・松本人志への陶酔っぷりはよく知られた話。よって、松本の相方である浜田とジュニアの関係性も良好だ。浜田が上、ジュニアが下と序列がしっかりしている。対抗軸など存在するはずがない。

 対して矢部は異なる。1994年に松本が上梓した『遺書』、そこに書かれた一説「ナインティナインなんて、ダウンタウンのチンカスみたいなもの」。過去、ゴリゴリにディスられた経験を持つ。

 長年に渡り、看板番組という城を持つ2組。ダウンタウンとナインティナインはお笑い界の城主だ。共演も2011年に放送された『爆笑 大日本アカン警察SP』以来7年ぶり。そもそも顔を合わせること自体が貴重なのだ。

 今では確執はないという2人、メイキングには仲睦まじくケータリングのかき氷をつまむシーンも収められていた。もう不仲を疑う余地はないが、子飼いのジュニアと矢部ではやっぱり違う。過去、間違いなく対抗意識があった2人の戦いは、視聴者にガチ感を妄想させる余地を持たせる。

 前作、出演者の一部は自家用車を用いて戦っていた。浜田に「お前、行ってこい」と言われれば、定番の「勘弁してくださいよぉ~」といったやりとり。芸人のおいしい場面だと理解している。しかし、“戦闘する車”目的の僕としてはモヤモヤするシーン。早よ戦えよ、と場面をスキップしたくなった。

 今作では番組側が車を用意することで、おのずと上記のようなシーンもなくなっていた。なくなるついでに言えば、前作で雑味となっていた舞台設定、車の情報もともにサヨナラ。よって『戦闘車2』は、純度の高い自動車バトルバラエティに仕上がっていた、混じりっけなし。

 浜田軍と矢部軍の勝負は下記の5つの試合で争われた。

第1戦 サッカー
第2戦 棒倒し
第3戦 カーリング
第4戦 横転グランプリ
第5戦 連結猛レース

 なかでも個人的にグッときたのが、125m×92mの巨大なフィールドで争われたサッカー。各軍が6台の車を用意し、150cm/40kg発泡スチロール製のボールを推し進め、相手フィールドにある横幅21mのゴールを狙う。

 当初は「車でサッカーなんてできるのかぁ」とうがった見方をしていた。しかし、これがもう想像以上にサッカーで。車体を上手に動かし、ドリブル、パス、インターセプトとなんでもござれ。免許を持っていない僕からすると、各人のドライビングテクニックが魔法に見えてくる。なかでも、矢部軍の芸人じゅんいちダビットソンの活躍は光っていた。浜田軍のプロレーシングドライバー脇阪寿一から上手にボールを奪い取る。

 さすが本田△。

 そんな名プレイを余すところなく収めるのが、フィールド上を飛ぶ数機のドローン。12台の車が果敢にプレーする様子を俯瞰で見る映像はリッチだ。

 他にもローションをまいたフィールドを車が滑るカーリング、車の横転回数を競う横転グランプリと『戦闘車2』はいい感じにぶっ壊れていた。前作のお行儀が良すぎたんだなぁ、と再確認。

 いやはや、素材が良いものは手を加えない方が吉と出る。『戦闘車2』は2018年に見たなかで最も期待を裏切られる作品となった。

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