「ベンチャー企業の創業者で、挑戦する立場に理解があった。京都の経営者だから東京の財界に対する対抗心もあったと思う。だから既存の自民党ではない政治勢力、政権交代可能な2大政党制の必要性を強く感じていたのではないか」(伊藤氏)

 2大政党制を作るために、稲盛氏は政権交代前の2003年民主党と自由党の民由合併の工作に関わった。当時、菅直人氏ら民主党内に“小沢アレルギー”が強く、合併に反対したが、それを説得して合併を成功させたのが稲盛氏だったとされる。合併民主党の事実上の“オーナー”だったことになる。しかし、政権交代後は民主党に使われた。伊藤氏はいう。

「経営破綻した日本航空の経営再建を担わされ、出資も求められた。稲盛さんが民主党のフィクサー的なポジションにあったのは政権交代前の野党時代までではないか」

 民主党が分裂騒動を起こした菅政権時代、「大変落胆している。こういうことのために支援してきたのではなかった」と稲盛氏は記者会見で語り、以降は民主党と距離を置いた。

※週刊ポスト2018年12月7日号

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