舞台に戻ると、田原は「(かつての客層は)女性の方が99.5%でしたけど、こうやって見渡すと男性の方も沢山いて、ありがとうございます」と感謝を述べた。
男性客から「待ってたよ~~!!」という声が挙がると、すかさず「聖子ちゃんのファンだったみたいですけど」と返し、場内は笑いに包まれた。しゃべりでも、観客とのコール&レスポンスが出来上がっていた。
直後、爆笑問題・太田光が田原とファンの関係を描いた『ヒマワリ』を歌い上げると、観客はその歌声に聞き入った。
田原のしゃべりと振る舞いによって、明らかに最初の数曲の時と会場の雰囲気が変わっていた。馴染みの薄いバラード曲でも、感情移入できるように田原が自らの力で持っていったのだ。
そして、『抱きしめてTONIGHT』のイントロが鳴ると、観客は総立ちに。手拍子のテンポこそ人それぞれだったが、会場が一体になっていた。
笑いを取った後にしっとり聞かせ、今度は180度異なるダンサブルな曲で魅せる。緩急自在の流れに、田原俊彦の魅力が詰まっていた。
アルバム曲の『初恋』では、先ほど話し掛けた小学5年生の女の子のところまで駆け寄り、ステージに連れて行く。用意したベンチに彼女を座らせ、田原はその横に腰掛けながら、穏やかに歌った。次から次へと繰り出されるファンサービスに、会場は暖かい空気に包まれる。