「もともと菊池(涼介)とは仲が良くて、病気が分かったときも最初に伝えました。その菊池が、試合前の休憩時間に『生きてる~?』とか、明るくLINEのビデオ通話をかけてきてくれる。そこで周りの選手とも話をすると、気が滅入っていても元気になれた」
昨年7月に練習復帰。今年3月のウエスタン春季教育リーグで、実戦復帰を果たした。もちろん、困難はある。
「まず飯が食べられない。抗がん剤治療で体重が10kg近く落ちましたが、それが戻らない。食べて体が作れないんです。胃が半分しかないので、すぐに満腹になってしまう。食べる回数を増やすとか、試行錯誤の繰り返しです。
あとは、野球をやる上での感覚、反射神経といった部分のパフォーマンスが落ちているのは実感します。トレーニングで握力は戻っても、微妙な感覚は戻らない。常にだるい感じで、体のキレが悪い。がんになる前の走攻守を100とすれば、今はそれぞれ30くらいでしょうか」
それでも、赤松は挑戦を続ける。今季は二軍で55試合に出場。打率2割3分7厘で、盗塁は5つだった。
「実力がある者が使われるのがプロスポーツの世界だから、同情はしてほしくない。ここで一軍を勝ち取れば、がんサバイバーたちを勇気づけられる」
目標はカムバック賞だが、「ラスト1年。その気持ちでやる」──赤松はそうはっきりと、2019年シーズンへの決意を口にした。
※週刊ポスト2018年12月21日号